僕は家に帰ると直ぐにプリントを探した。お目当てのプリントは机の上に放置されてあって、早く見つけることが出来た。少しだけ黄ばみが見られるそのプリントは自分が二年に進級した時に貰ったもので、各クラスの名簿が記されている。

 2年4組組を見ると、更南恵子の下に椎名優里と記されていた。どうやらあの女の言っていたことは嘘ではないらしい。
 まあ、嘘を付いていたとしても、そうする事で僕やあの女になんの得があるのか分からない。しかし、自己紹介をするのも誰の得でもないだろう。

 僕はもう一度プリントを見つめた。椎名優里、彼女は何の為に僕に話しかけてきたのだろう。深く考えてしまう。深く深く考えて思ったが、こんなに深く考える必要があるだろうか? 同じ学校の奴なら、僕に話しかけてきても何にも可笑しいことなんてない。
 一人、納得して頷いた。
 椎名の事を頭から遠ざけると、次に浮かんだのは猫の事だった。殺し損ねた子猫。石を命中させて、怯んだところで首の皮を掴んで家に持って帰るつもりだった。持って返った後は勿論刃物なんかで傷を付ける。猫の解剖は初めてじゃ無いけど、今日は楽しみにしていたから残念だった。
 僕は気付けば深い溜め息をついていた。







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テーマ「人外ファンタジー」
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