02


春寒いころ、彼女は華清地の温泉に浴することを許されました


「温泉すご!やふー!」
「おおお奥方!お風呂で泳いではなりません!」
「なんで?気持ちーよほら一緒に!」
「あわわわ奥方…!」
「奥方とか堅いから止めてってばもー」


仮にも皇帝側近の彼女はまたしても騒ぎを起こしている模様です。女官が慌ててます。温泉の湯は滑らかで、彼女の白くきめ細かな肌に注ぎかかる、はずですが実際は今頃女官と着衣入浴でもしてるんじゃないでしょうか


「奥方、そろそろ出ましょう」
「んーあー」
「え、ちょ…あああ誰か!誰か来てちょうだい!奥方が!」


のぼせました
侍女らが手をそえてかかえ起こそうとすると、なよなよとして力もない様子


「大丈夫ですか?」
「まあ、はい」
「無理なさらないで」
「ども」
「どんだけ入ってたんですか?バカですか?」
「あれ今さり気なくバカって言ったの誰?はい挙手」


これがまさに初めて皇帝の寵愛を受けようとする時であったなんて、誰も思うまい

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