「ねー、あんたのこと好きだって言ったらどうする?」 がやがやとうるさいテレビを見ながら、何気なく言ってみる 「……は」 あたしは昨日告白された。話も合うし、一緒にいて飽きないし、好きだと思えば好きなんじゃないかと思う 「…なんだよいきなり」 「別に?」 もうすぐ華の10代も終わる。そろそろ恋は恋としてじゃなく、経験としてしておくべき年になってきた。好きだと思って好きになれるような奴なら、きっと好きなんだ 「俺は、好きだけど」 「あー?」 好きな人とかはいないはずだった。好きになるとか、何それっていう 「……は、誰を」 「お前」 ただ返事をどうしようか考えたとき頭をよぎったのは、こいつだった。もしかして好きだったのか、なーんて 「…嘘つけ」 昨日の今日で気づいて、あいつに返事する前にこいつに言ってみることにした。後悔する前に、ただそれだけ 「まさか。嘘なんてつくかよ」 「や、だってあんた彼女いたじゃん」 「ああ、あれ」 こいつに言って、ふられたらふられた、例えばの話だよなんて言ってあいつにOKを出すつもりだった 「そしたら俺の方見るかなー、って」 「意味、分かんない」 ふられる前提でいたから上手く対応できない。どうしよう、すごい軽い気持ちで言ったのに、なんか、申し訳ない 「で、お前のはほんとなわけ」 「…は、」 テレビからは笑い声が溢れ続ける 「…付き合ってみる?」 あぁ、これが恋か |