自分の世界に入った奴はほっとくのが一番である







第2話
人は見た目によらないらしい








「リーン!おっはよー!」

「うわ…え、何さーやその顔気持ち悪いよ」

「うっへへ!見て見てこの雑誌!椎名くん特集!っしゃぁああああかっこいいい神ィイイ!!あ、植村おはよー。…うん、植村より椎名くんのが全然かっこいいわ!」



知らねええええ
一般庶民の俺と芸能人比較したってそりゃ俺が負けるに決まってんじゃんよ!あほか!相手が芸能人でも負けりゃダメージは受けるんだよこのやろうめ

教室に着くなり雑誌片手にどばんがたんと転がり込んできた芳野に俺は、お前いたの?みたいな扱いを受け更に最近人気急上昇中の若手俳優椎名なんとかとなぜか比較された。朝からテンションがた落ちである。鳥のフンが新品の帽子に落っこってくるのと同じくらいテンションがた落ちである。



「伊鈴ちゃんに沙早ちゃんに、植村さん。おはようございます。みなさん今日はお早いのですね」

「あー聞いてよ麻綺!またさーやの椎名病が」

「椎名病とはなんだ椎名中毒と言え!」

「何も変わんないよそれむしろ悪化してる」

「あら沙早ちゃん、まだ三次元の男性なんかにハマってらっしゃるの?いけないわ、理想の男性とは常に二次元に存在しますのよ」

「やべえ麻綺がまた変な方向にいってしまったどうしよう海斗」

「いつも通りの方向だと思うけど」



キューティクルの素晴らしい綺麗すぎる黒髪を持つ東条は、端から見れば上品なお嬢様だ。世界を牛耳る東条財閥の一人娘だから本当にお嬢さんではあるんだけどもしかし、こいつはそんな美しい器に収まるような奴じゃない。俺も騙された。あんな上品な喋り方のくせに、東条は生粋のゲームオタクなのである。主に乙ゲー。ことあるごとに二次元キャラを持ち出してはその良さについて語りまくり、最終的には完全にマイワールドへ突入。手がつけられない。まったく、人は見た目によらないなんてその通り



「いい?沙早ちゃん、理想の男性とは『サバイバルナイン〜恋は盲目〜』の昴くんみたいな人のことを言うの」

「あれ、ユーリー来てなくね?」

「ああ、今日休みだってー。植村に言っといてって言われたの忘れてた」

「昴くんはまさに男性の境地!金髪童顔なんて萌え以外の何者でもないわ」

「え、まじで?大吾来ねえなら俺帰ろうかな」

「例の喫茶店でバイトしてるから行ってみたら?」

「でも爽やかな雰囲気を醸し出す桜庭様!あの方も最高よ、長身で黒髪短髪なんて!」

「バイト?あいつサボリじゃん」

「そういやユーリー金欠だって言ってたわ」

「あ、リン!こないだ借りた五百円」

「わっすれてた!どもー」

「昴くんと桜庭様、ああ両手に花ね……!ご飯三倍いけるわ!」



俺たちの日常なんていつもこんなもんだ



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