「無理無理むりムリー!!」



お化け屋敷とかふざけ!無理!こわっ!ここハズレだったら俺泣く!誰かああああ









―22








「ぬおおお…!」



こ、怖いぜお化け屋敷…!強がってお化けなんか怖くないしとか言わなきゃ良かった。阿久が「はん?お前幽霊が怖えのか、おこちゃまだな」って嘲笑わなければ!こんなことにはならなかったのに!ていうか阿久だって実は怖いのダメなくせにあいつ……!



「あああ本当もうやだあああ!」

「おいおい嬢ちゃん、走ったら危ないよ」

「嬢ちゃんじゃない!俺は男……え、誰」



…なんかいた!今なんかいたよ!ねえ無理死ぬ幽霊とか無理なんだって本当助けて!ヘルプ!うわあこっちくんな!顔怖いよ顔!



「とりあえず血拭いてよばかあ!」

「おや、あんたわしが見えるのかえ」

「見えるよ!やめてその普通の人は見えない的な言い方すんの!」

「見えないぞい」

「………うわあああああ」



暗い道をダッシュで、ひたすらダッシュで駆け抜ける。まっすぐ来た気がするけど長くね?道長くね?うわ、お墓出てきた。頑張れ俺!耐えろ!…え?右に曲がれ?



「そや。そこをな、くいっと右にの。右に」



待て待て待て待て。
なぜ普通に会話が成立してるんだ。意味分からん。顔怖い。ところで俺は、こいつの指示に従っていいの?どうなの?そっちが出口なの?



「次は左。ほらよう、光が見えてきたさ」

「出口……!」



おおお!光だ!ようやく俺はこの暗い森から抜けられるらしい。ああ良かった。ああ、もう、ね。うん、本当良かった。疲れた。



「でさ、あんた一体なんなの」

「わしかい?わしゃあ数十年前にここへ侵入したんが出られなくなって死んだ、元スパイじゃ」

「………」

「出口までは行ったんだがの、ハズレで。ハズレじゃと脱出不可能になるぞい」

「……………」

「ほれ、ハズレ仲間がたくさん来たさ」

「…………………」



やべ、涙出てきた







友達百人できました




出口の隙間から差し込む光に多大なる期待をして扉を開く。……ああ、俺もここの住人か



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