できれば一生見たくもないその紋章、裏で最大の勢力をもつ暗殺組織ブランシュールのものだ









―19








「おい、緑とか黒とかってなん「阿久、頼むからあと少し黙っといて、あと少しでいいから」

「ああん?俺様に命令なんざ「止めるよ、心臓」

「………」



実際に阿久の心臓を止めた経歴をもつ俺の笑顔は、きっとユーラに負けず劣らずの威力を持っていたのだろう。すんなり静かになった阿久にとびっきりかわいい俺の笑顔を投げかけ、鎹の元へと戻った。今そこの俺様野郎に邪魔されるわけにはいかない。こっからが本番だっての



「それで君、何故僕たちを襲撃したんだい?」

「はっ!組織“博愛”により雇われ、アジトの周りに黒いワイシャツを着ている輩がいれば直ちに抹殺せよとの指令が」

「博愛って…組織名ふざけすぎじゃね」

「ネーミングセンス皆無だね」



完全に俺たちを自分の上司だと思い込んだ男から、大量の情報を聞き出す。とりあえず今から任務で向かう「博愛」の内情とアジトの見取り図、ついでにブランシュールの情報もゲットしといた。対象組織の名前も情報も特に知らされないのはよくあることだ。長のいらん遊び心。それにしても鎹の話術、ありゃ敵に回したら負けだな



「僕たちは別の任務でそこの組織を潰しに来たんだ。ここは僕らに任せて、君は中央へ行っててくれないかい?」

「はっ、ですがなぜ中央へ」

「僕たちを襲撃し、更に顔を見られたからには、少しばかりこき使われてもらわなきゃね」



まったく頭のきれる男だ。こうもすらすら適当なことを並べまくり、挙げ句いつのまにか証拠隠滅までの流れまでも作り上げるとは、鎹の脳って一体どんな構造してんだか







頭のいい奴って大抵変人




「もしもし綿貫?」

『ああ鎹さん、どうかしたんですか』

「もう少ししたらブランの下っ端が中央に来ると思うんだ、そいつの記憶適当に消しといてくれないかい」

『何かあったようですね。ふふ、高くつきますよ』



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