俺は全く覚えていない前回の任務で負った怪我のかさぶたやら痣やらが、まだ大量に残ってる。本当は時間を巻き戻して治しちゃえば良かったんだけど、なんせ能力を使うにも体力が必要。自分の大怪我には使えないんだよね。俺の能力の欠点。まあかさぶたまできたら自然治癒力がんばれって感じだけど。



「あああああ!」

「うるさいな阿久」

「ピンが!俺様のピンがねえ!」

「刺さってんじゃん頭に」

「違え、一本ねえんだよ!」

「知るか!一本なくなったくらいで大声出すな!」

「はっ、こんなこともあろうかと予備ピン持ってんだすげえだろ!さすが俺様」

「ねえ、バカなの?阿久ってバカなの?鎹」

「今更気づいたのかい?どっからどう見ても生粋の馬鹿じゃないか」



ええと、どうして今回この面子になったのかな









―17








滅裂コンビと任務なんて、一体何年振りだか。全く覚えていない。ああもう、サイと行くより疲れる。ていうか誰と行っても疲れる。話者なんて変人ばっかだ。あ、綿貫ならまだ楽かな



「今日はそんなに重い任務なのかい?」

「さあね、たかだかA級組織一つ潰すのに俺たち三人もいるのかな」

「お荷物二人より俺様一人の方がいんじゃねえの?」

「や、三人もよこすってことはそれなりに難易度高いんじゃ」

「いや、一人でいいって言ってるんだから任せても良いんじゃないかな?リューネ、帰ろう」

「え」

「じゃあね、強がったことを後悔しながら死ね阿久」

「えええええ」



一人じゃ無理な任務であろうことを分かっているはずの鎹は、明らかに阿久を殺しに入った。待て、早まるな



「ああもう!こんな喧嘩しながらよく毎回任務やってるよね、尊敬するわ」

「カス野郎のせいで減給されんのも癪だからな」

「何を言っているんだい、足手まといは君の方だろう」

「ああん?ふわふわしてるだけのやつに足手まとい呼ばわりされる覚えはねえ」

「考えもなく攻撃するだけの単細胞に言われたくないね」

「だあああああ!!うっさい!少しは黙って歩……」



パーン。
背後に殺気を感じた瞬間、カラッとした銃声音。前方をいがみ合いながら歩いていた二人がいきなり消えたと思えば、俺の後ろから声が。鎹の刀に当たった銃弾がコロリと滑り落ちた。



「さあて。どっから来たかな、今のは」

「弱者から狙うたァ、やってくれんじゃねえか」



…ああ、そうだった。こいつらいざ戦闘となると無駄に相性いいんだった。あれ、弱者って俺のこと?







喧嘩するほどなんたら




それにしてもいつ攻撃に気づいたんだか。俺にもその感度ほしいよ鎹。やつの気を瞬間的に感知できる阿久も、まあ、長年のコンビは伊達じゃないってとこか



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