「起ーきてー、サーイーくーん」

「んー…あ、ユーラ…おはようのチュぐぶぇぇ」



目覚め一番にユーラのどアップ。うれしい。そして本日二回目のグーパンチ。うん、今のはオレが悪かったと思う



「…あれ、その子誰?」

「今日から入った新しい子!ほら、あいさつ」

「あっ、あの…サイ、さん?」








―15








ユーラの後ろから控えめに出てきた女の子は、茶色いツインテールにナチュラルメイク、目は丸くて可愛らしい子だった。…なんか、えーと、もしかしてどっかで会ったことあるか?



「今日の記録は二人ペアで行ってもらうから」

「へ、そうなんですか!?」

「まあまあ、俺が付いてるから心配せんでええよ」



俺がスマイルをかますと、彼女はハイと安心したように笑った。なんだ、やっぱりかわいいじゃんこの子!どっかで見たことある気がすんのは何でだろう、あれか、オレの名前知ってたし昔声かけたことある子かな。さっきから見つめてくるし、わお、オレって罪な男!



「サイ、任せたよ」

「おうよ!あー…名前は?」

「…流子、です。よろしくお願いしますね」



……えーと、

………えー、

……………え



「…リューネェエエエ!?」

「「イェーイ」」

「イェーイやないわ!何ハイタッチしてん!え、えええ!?リューネ!?」

「うるさい天パ」

「俺の演技力を崇めやがれ」

「よし決定、今日はそれでお行き」

「や、待て待て待て!リューネ!」

「流子よ」

「いや何なのその乱暴な名前の付け方!」



何?何なの?ドッキリなの?名乗る前に若干の間があったことではたと気づいたが、流子って、お前流子って!まんまじゃん!なんて雑なんだ。いやあ、まあそれにしても



「…オレ今のリューネならいけると思う」

「なにがいけんだよ寝言は死んでから言え」

「まじめに女の子みたいや」

「え、侮辱?」

「かーあいー!」

「ぐえっ」



慣れないふわふわした貴族的なロングスカートを身につけるリューネ…いや流子は上手く動けないらしく、オレの抱擁に「任務終わったら吊し上げてやる」と繰り返しながら大人しく従った。くそ、おしいな。外見だけならいけるけど触るとやっぱゴツゴツしてて女の子みたいにやわらかくない。おしい。



「はいはいそこ、サイにホモっ気があることは庁内にちゃんと言っとくから早く行ってきて」

「いや、オレはホモちゃうで!女の子が好き!普通に!」

「まあ、サイさんってそうでしたの?」

「おま、ちょ、ユーラァァァ!ストォォップ!」



じゃ、とっとと行ってきてよねーなんて適当に右手をひらひらさせながらかっこよく去っていくユーラの後ろ姿に計り知れない不安。







見た目良ければすべて良し




後にこれが定着することとなる



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