例えば、 小鳥のさえずりとか 例えば、 差し込む太陽の光とか 例えば、 かわいい女の子のモーニングコールとか 「ぶっふ!久々に見たけどありえない髪型!何、ギャグ?ギャグなの?ちょう楽しい」 朝一番は、是非そういう類のものにお願いしたかった ―6 ほぼ鳥の巣状態だよねそれもう狙ってるとしか思えないよ具志堅ですかぎゃはは!と声高らかに不法侵入してきたポニーテールの男は、オレの気を害するにはまったく十分過ぎる存在だった 「…なんでお前がおんねん、ここに」 「寝起きドッキリ!リューネくんのモーニングコールー!いぇーい」 重い。テンションが重い。そしてなぜオレにまたが……ってリューネェェエ!何で写真撮ってん?何で?肖像権! 「朝からうっさいなーサイはー」 「いや全体的にお前が悪い思うで!今日は!」 「ほら、横向いて」 「あ?」 パシャリ 「よしナイスショット、俺」 「ちょ、何しとんねん!よこせそれ!」 「だめ俺の写ルンです!サイの写真って女の子に高く売れんだから!」 「…はあ?」 高く売れるって何、え、オレの写真出回ってんのってお前が売ってるからだったの?まじでか!髪の毛セットしてんなら全く問題はない、けど!むしろ撮ってくれたまえだけど!寝起きはまずいってオレの天パは尋常じゃないんだからな、そこら辺の天然パーマのやつらとは格が違うんだからな、毎朝2時間アイロンを駆使してやっとちょっとパーマかけた人レベルになるんだからな! 「サイってほら、微妙に顔がいいから微妙に人気あるじゃん」 「微妙はいらんで、超や、超かっこよくて超人気あんねん」 「自意識過剰も大概にしろよ腐れアフロが」 「…お前、その笑顔と暴言のギャップどうにかならんの」 とびっきりの笑顔でさらりとすごい事を言ってのけるこいつ、生まれた時から一緒のオレでさえ視覚と聴覚の齟齬に慣れない。むしろ恐怖。よく女の子たちに「サイ君って何考えてるかわかんない」とか言われるけど、俺からすればリューネの方が何考えてるかわからない。まあ食べることが八十パーセントを占めてるのは誰でも分かるから置いといて、あとの二十パーセントがいったい何なんだか。かわいいふりしてあの子。 「あ、それはそうと本題」 「んあ?つか退けや」 「はいこれ、任務だって」 「…何、またお前と行くん?ていうか退けって」 「すこぶる不服」 「全く同感……なあ重い言うとんねんけど」 「しかも行く前に長んとこ寄るらしいよ」 「及川の?ねえまじで降りてお願いだから肝臓的なところが圧迫されてきたから」 長が呼び出しなんていつ以来だろうか。良い予感が全くしない。とりあえずオレは腹に乗っかる眉なしポニーの股間を頑張って蹴り上げ、我が忌々しき髪の毛と2時間の死闘を繰り広げるべく戦場を整えた 世界で一番電気を無駄使いする人の話 無駄使い?まさか、オレが使てんのは悪玉の雷やから(多分)平気なんですうー |