ver.木兎
ある日の放課後、教室にて
「じゃあ今日はここまで!気をつけて帰れよー」
『はーっ!マジ疲れたー。つかお腹空いたー』
「……苗字さんそれいつも言うよね。お昼ご飯あんなに食べてるのに」
『いやー。若いから代謝がいいんです!あ、そうだ!これあげる!』
「……すごいね。ちゃんとつくれるんだ」
『失礼な!……いや、赤葦くんにはいつもお世話になっているので。光太郎の分も。だから……感謝の気持ちってゆーか、ね?怪我してた間も色々お世話になったので』
「ありがとう。一番嬉しいかも。なんか俺にくれた子たちみんな好意が見え見えすぎてちょっと大変だったから。そういう感謝みたいな真っ直ぐな感じ安心する」
『ほー。さっすが副主将だねー。もてもてじゃん。……でも赤葦くんも大切にしたいって子ができたらきっと気分変わるよ?女の子にとってバレンタインって結構一大イベントだからねー』
「……そういうもんなのかな。」
『そー、そー!』 「おーい名前!」
廊下に目を移すと大声で呼ぶ木兎さんの姿があった
まぁだいぶ前から見えてたけど放課後ともなると、人が沢山溢れるので中々見つけられなかったのだろう
呼ばれてぱっと顔が明るくなり楽しそうに話している
そんな姿をみているだけでなんだか心が暖かくなる感じがした
『うわぁ。今年もたくさん貰ったねー。さっすが主将様』
「えっへへー。でも今年は大変だったんだよー。下駄箱とか机の中とか何故かロッカーとかさ、持ちきれないから先生が袋くれたんだよ。こんなに貰っても食えないよなー」
『ちゃんと食べてあげて。みんな光太郎の為にくれたんだから。でもなんかそんなにあったらなんかあげるの気が引けるなー』
「くれるのか!まぁそのために来たんだけど!」
『……はい。』
「やーったー!ありがとな!あ、あとこれやる!」
『?チョコと……焼きそばパン?』
「そー!お腹すいてるかなーと思ってさ。これから部活だし!」
『ぶふっ。ありがとう。光太郎っぽい笑』
「そんなに笑うことないだろー!」
『ごめっ笑おかげで頑張れるわー!』
「おう!頑張れ!じゃ部活終わったら部室棟で待ってるから一緒に帰ろーぜー。」
『うん。わかったー。じゃあまたねー』
「おう!赤葦ー!先行ってるぞー」
「はい」
『うわぁぁ!赤葦くん!光太郎から逆チョコ貰ったよ!明日は雪かな……』
「正直俺も驚いた。でもよかったね。」
『うん!あー焼きそばパンうまー』
「食べるのはや!」
この二人を見ているといつも飽きないなと、貰ったチョコレートを頬張りながら思う赤葦だった
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