お昼ご飯を食べているとき一応お母さんには今日彼氏が来ると伝えておいた。
うちには何度か来ているので承諾を得るのは簡単だった。
さっきからずっと心がざわざわしている。
落ち着かない。
足を気にしながら俯くと
「……木兎君に怪我のことちゃんと話すんだよ。まぁ名前の事だからねー。連絡もしてないんでしょ?大切な人だから話せないなんてのは絶対しちゃいけない事だからね!特に木兎君みたいなタイプはね!ぜーったい傷つくんだから!こういう時こそちゃんと不安なこととか話してたーっくさん甘えるの!」
『……お母さん。私にそんな女子力はございません。それに今あたしのこのマイナスな感情を光太郎にぶつけたとして、いい事なんて何も起こらない気がするもん。迷惑なだけだよ……』
「迷惑なんてかけたモン勝ちでしょーが!!付き合ってる人には素直に向き合いなさい。てかあんた達見てると絶対悪い方向には行かないってー。ね?自信もって!さーって夕飯何作ろっかなー♪」
『……ほんとお母さんの性格は見習いたいわー。』
頭の上に音符が見えるかのように酷くご機嫌な様子で母は買い物へ出かけてしまった。
とはいえ1人になるといやでもあの時の光景が頭から離れない
レギュラーになり副主将になってから初めての練習試合
体制を崩してしまい足がもつれそのまま転倒
足に違和感があって暫く動けず立ち上がろうとしても、鋭い痛みで立ち上がることすらできなかった
−苗字!多分捻挫してる。このまま続行は不可能だ。保健室連れてくから。それからしばらく部活は休みなさい。
−……っ!はい。わかりました……。
それからはショックすぎてよく覚えていない
お母さんが迎えに来て病院行って
ずっと泣いてたことは覚えている
ただひたすら不安でこのまま良くならなかったら?もう部活ができなくなったら?そんな考えがあたまをぐるぐる巡っていて
翌日たまらなくて泣きながらお母さんに今日だけ学校を休ませて欲しいとおねがいした
光太郎は良くも悪くもすごく真っ直ぐすぎるから今の私には向かい合える元気はなかった
だから連絡しないでおいたのに赤葦くんがかなーり気を回してくれたであろう、結果光太郎がうちに来ることになっていて
なんか色々考えたりテレビ観てたりしたら赤葦くんから
“今木兎さん向かったからあとは頑張って。”
とLINEが来てから10分しないうちに来たらしい
何故かお母さんと。
「ただーいまー!なんかさっきそこの道路でねー木兎君に会ったのよー。荷物持ってくれるっていうからお願いしちゃったー」
いやいや心の準備ができてないですお母様
バタバタと母が入ったあとに光太郎登場
私の緊張がピークに達し言葉が出ません
こういう時なんて言えばいいんだっけ?
「お邪魔します!……って名前ー!その怪我どうした?もしかして……先週の練習試合か……??」
「まぁまぁ。立ち話もなんだし名前のお部屋でどうぞ!木兎君にもつありがとね!助かったわー!夕飯食べてってねー!ごゆっくりー♪」
「わー!やったー!お母さんありがとー!じゃあ改めておじゃましまーす!」
とりあえず部屋まで移動
移動中なれない松葉杖をついてる私をみて、さりげなく背中を支えてくれていて……
それだけでまた泣きそうになった
ほんとこのさりげない優しさが本当に今の私には染みるのだ
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