それは甘いカラメルのように(月島)

『あー!プリンない!!なーんでー!!??』

「冷蔵庫にまだあったから食べたよ。暇だったから。」


そう。事件は現場で起きたのです!






事件発覚一時間前。
蛍からバイト何時に終わる?ってLINEが来たので午後3時に終わると返信するとじゃぁ家(私の)で待ってる。と返事がきたのでかなりウキウキで帰ってきたのに!なんですかこの状況は!?



『なんで食べたのー!!今日帰ったら食べようと思ってたのにー!!』
「えー……。てゆうか今ダイエット中じゃなかったの?そもそもさ今日僕が来るの知ってたよね?でも手ぶらだよね?一緒に食べようとか思わなかったの?」
『え!……もしかして一緒に食べたかった…の??』
「……うん。しかもそのプリン駅前の有名なとこのだよね。なんで先に食べようとしてるの。」



この間約5分。蛍はソファに体育座りで首を傾けながら私に聞いてくる。いや、乙女かよ。
そして決して私から目線をそらさない。しかも笑顔。しかも矢継ぎ早に饒舌だ。これは怒ってる時の奴だ。間違いない。
てゆーかなぜ私が怒られてるんだろうか。


沈黙……





『あ、あのー?私はどうしたら……。あ!同じの買ってこよう!!今度は2個!!そんでショートケーキも付けようじゃないか!!』
「…………」


沈黙に耐えかね機嫌を取ろうと発した言葉は、沈黙で返された。そして立ち上がったではないか。
これは激おこか……。まずい……。


『……ごっ、ごめんなさ「ねぇ。プリン買いに行くんでしょ?……いこ」』

『……ん?い、今ですか?食べたばっかり……』
「え?だって今買ってくれるって言ったよね?今に決まってるじゃん。」
『……は、はい。』
「それとさ……」
『え?何?』
「……ごめん。やっぱりプリンはいいよ。名前さ、僕のことこわい?最近なんか僕に気使ってない?」
『……え?そんなことない……とは言えないかも……。部活さ……大会近いでしょ?だからあんまり負担かけないようにって思って。今日もくるとは思ってなかったから……。でもプリンは食べたかったので買いました。』
「……ぷっ。何それ。やっぱり名前って馬鹿なの?」
『なっ!そんな笑わないでよー!』


「……あのさ。気、使わなくていいから。別に部活あっても大会近くても会いに来るから。思ってる事我慢する必要ないでしょ?付き合ってるんだから。」

『……っ。蛍ー!』

「そんな顔しないで。老ける」

『もー!!ほんっとかわいくない。』


どちらともなく抱き合って笑って。
思えば初めてお互いのことを言いあえたのかもしれない。
なんだか凄く心が晴れやかだ。
きっかけはプリンだけども。
だからこそ今は




『「買い物いこう」』



大好きな君だからこそ

これからも一緒に沢山共有していきたい


甘ったるいカラメルの匂いと一緒に









おまけ


『よーっし!駅まで競走だぁーっ!!』

「……はぁ。僕に足で勝てると思ってるの?手、貸して」

『もー!子供じゃないんだから!でも、蛍の手あったかくてすき。たまにはこーいうのもいいね』

「……うん。早く行かないとプリン無くなるからいこ」

『え!?そんなにプリンたべたかったの!?じゃー手繋いだままダッシュする?』

「……ほんと馬鹿だね」





…………END



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