あいつとの関係性を問われた何と答えるのが正しいのか。
先輩と後輩?天敵?好敵手?…恋仲?
多分、俺達は一番最後のやつなんだろう。あいつから告げられたのは一月前。俺はそれを承諾した。なんでって…俺だってあいつのこと好いてるからに決まってる。

そもそも俺達はあまり関わりを持たなかった。初めて言葉を交わしたのは、俺が三年になってすぐの三年と二年の合同実習。くじで引き当てたのがあいつだっただけ。
い組だから知らないけどやたら突っ掛かってくるし先輩を先輩と思わないような発言ばっかでその日に大喧嘩した。それからはもう顔を合わすたびに手がでる足がでる。お互い遠慮なんて言葉持ち合わせてなかった。

いつからあいつへの想いが苛立ちや嫌悪から恋慕に変わったのか。そんなの分かるわけない。気付いたらそうなってたんだから。
こっそり自主練してるところを見つけてしまったりとか、意地悪しているようで実は後輩に優しかったりとか、そんなところを見てしまったのも原因の内かもしれない。
あいつに告げられた時、そうか俺はこいつのことが好きなんだって妙に納得できた。そうだ、気付けば俺の視線はあいつばっか追っていたのだから。




これだけ語っておいてなにが言いたいかって言うとだな、まぁその、なんだ…進展が全くないんだよな。
慕っています大好きですお付き合いをしましょうはい良いですよ。それで終わり。何か変わったとすれば目が合っても喧嘩をする回数が減っただけ。
あれ、もしかして俺あいつにおちょくられたのか?うわ考えたらムカついてきた殴りに行こう。
俺は今まで座っていたところを後にして、あいつが居そうなところを探しに歩きだした。二年の教室か、長屋か、火薬倉庫か。きょろきょろ辺りを見回しながら歩いていると、少し離れたところに目的の人物を見つけた。俺ついてる。
思わず走り出して、そのままの勢いでそいつに跳び蹴りを食らわす。避けきれなかったそいつは軽く吹き飛んだ。

「…ってぇ!いきなり何しやがる!」
「うるせえ。黙って殴らせろ」

倒れ込んだそいつに馬乗りになって、着物の袷部分をひっつかむ。あわあわと下で顔を青くするそいつに振り上げた腕を捕まれてしまった。

「ちょ、ちょっと落ち着けよ!俺なんかしたのか?覚えないんだけど!」
「先輩には敬語使え。離せよ」
「離したら殴るだろうが!」

必死に抵抗されて、チッと舌打ちしてから腕を下げた。そうしたら掴んでいた手も引いていく。ふぅ、とそいつが息をつく気配がした。

「なんかあったんスか」
「別になにも」
「何もないのに跳び蹴り食らわされて殴られそうになった俺はなんなんだよ!」
「なんだよ文句あるのかよ」
「文句しかねーよ!」

吠えてくるそいつに俺も段々冷静になる。うん、こりゃただの八つ当たりだよな。

「あー…悪かった。八つ当たりだ」
「八つ当たり?」
「でもそもそもお前が悪いんだぞ?お前から言ってきたくせになんか行動するわけでもねぇし…俺から行動におこすなんてお断りだってーのに」
「なっ……」
「実はこれはお前からの俺への嫌がらせであの告白も実は嘘だったんじゃねーかと思ったっておかしくないだろ。んで考えてたらむしゃくしゃして殴りにきた」
「…………」
「つまり全部お前が悪い」

べーっと舌を出す。
目の前のこいつはぽかーんと俺を見てたと思ったら俯いて黙り込んでしまった。
なんだ?と首を傾げる前に、バッと顔をあげたこいつに頭を抑えられて、

「んの、馬鹿が…っ」「は…いけ、」

急に顔が迫ってきたと思ったら出したままだった舌をそいつの舌で絡めとられてまるで食われるんじゃないかって思うくらいの勢いで深い接吻へと変わる。
身構える時間すらなかった俺はなされるがままで、舌を噛まれたり上顎をなぞられたりされるのを背中を震わせながら耐えるしかない。
漸く解放された時にはお互い息もあがっていて、暫くは会話も出来なかった。

「…っきなり、なに、しやがる…っ」
「アンタが馬鹿みたいに可愛いこと言うのが悪いんだろ」
「はぁ?!」
「アンタって、俺が思ってたより俺のこと好きなんだな」
「な、は、馬鹿じゃねーの?!」
「そんな真っ赤な顔で言われても怖くないですよ富松先輩」

にやにや、目の前で笑ってるこいつに腹が立つ。なんで俺がこいつなんか…!

「富松先輩そんなに俺がっ」
「うるさい!黙れ!」

何か言いかけたこいつの頬に全力で一発殴って飛びのく。
悔しい悔しい悔しい!俺がこいつなんかにしてやられるなんて!こいつなんかに!

「別にお前なんかそんなに好きじゃねーよ!自惚れんな!池田のバーカ!!!」

そう言って俺はその場から逃げ出した。










「………そんなにって言ってる時点で俺のこと好きって言ってるようなもんじゃないのか?」

池田がそんなこと呟いてるなんて露知らず。


















池…富?
池田がかっこいい、むしろ池田が上手な池富を書きたかったんだけどどっちもキャラが迷子になった。おかしいな
私はかっこいい池田×男前富松を推します!



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -