※孫富前提で迷子と孫兵
※迷子と孫兵があんまり仲良くない
※なんか別人





「作は俺達のことだぁいすきなんだ」

頭上から落ちてきた声に、孫兵はピクリと反応して顔を上げた。そこには見なれた萌黄色の制服を着た迷子二人。

「いきなりなんだい?」

好意的とは思えない視線を四つの瞳から受けながら、孫兵は平然として問う。その問いに視線が少しきつくなったのも気にする風はなかった。

「孫兵に作兵衛は渡さん、と言う意味だ」
「渡すも渡さないも、作兵衛は誰のものでもないだろう?」

左門がきつい口調で言うも、孫兵はさらりと返す。
二人が不服そうに眉間に皺を寄せると、それまで座って飼育小屋の中のペットたちを見ていた孫兵が立ちあがった。その口には弧を描いて。

「余裕なんだな、孫兵。自分は作に愛されてるとか自信でもあんの?」

三之助は普通の人が見たら怯えるような怒りの表情を浮かべる。左門がそれを誡めるように肘で合図をすると三之助の眉間の皺が濃くなった。そんな二人のやりとりを孫兵は微笑みながら見る。

「愛されてるならお前たちの方じゃないか?作兵衛はいつもお前たちにべったりだろう?」

そう言ってくすりと笑う孫兵の目に底知れない暗闇があることに左門は気付く。

「……単刀直入に聞こう。孫兵は僕らのことを嫌いか」
「嫌い?面白いことを聞くな」

さも可笑しそうに、孫兵は声をだして笑う。
先ほどから笑みしか浮かべない孫兵に二人は疑問と薄気味悪さを感じた。どこかいつもの孫兵とは違うその雰囲気に戸惑いを感じる。
不意に、二人の方を向いていた孫兵がくるりと再び飼育小屋に向き直った。

「嫌いではないよ。嫌いだったら話する気も起らないだろうしな」
「へぇ?俺は嫌われてると思ってた」
「何故」
「俺達が、孫兵と恋仲である作をとるから、じゃない?」

そう、三之助は挑発するように言う。
作兵衛が孫兵と恋仲であるのは事実。そしてその作兵衛が孫兵ではなく同じ組の問題児である迷子に構いっきりなのも事実。恋人を取られているのだから嫌われているであろうと予想していたのに、嫌いではないと返された。ならば孫兵はそれほど作兵衛を好いてはいないのか?そんなはずない。ペットの前でしか見せないような無防備な顔を、作兵衛の前では平気で見せているのだから。
考えにふけっていた二人が視線を孫兵へあげると、いつの間にか孫兵はこちらを見ていて。
そして動けなくなった。
まるで蛇に睨まれた蛙のように。

「嫌い、ではないよ。僕は、お前たちが、憎い」

孫兵の瞳が蛇の目に見えたようだった。
憎い、と言いながら孫兵は笑っている。

「でも、お前たちは作兵衛の大事な人だから。お前たちを消してしまったら、作兵衛が悲しむだろう?だから、




作兵衛が僕だけを見てくれるようになったら、飲みこんであげる」


そう言い残して孫兵は立ち去る。その姿が見えなくなるまで、二人は動くことができなかった。









あきとさんへ相互お礼!
迷子VS孫で作争奪戦というリクエストだったんですが…添えてない感がぷんぷんします。やたら伊賀崎さんが黒くてヤンデレました。こんなはずでは…。書きなおし要請いつでも受け付けます…!
相互ありがとうございました!




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