※年齢操作 ※三年→六年、一年→三年 「作兵衛せんぱーいっ!」 今年も甘い日が来た。 こいつらがまだ一年で俺が三年だった頃、しんべヱが教えてくれた。 『今日は大好きな人にチョコレートを贈る日なんですよ!』 その時はチョコレート?と首を傾げたけれど、三年も経てばその異様な色にもなれてしまう。見かけによらずこれは甘いのだ。 「作せんぱい!チョコですよ!」 「僕たちからの愛です!」 「あーはいはいありがとな」 ちんまくて可愛かった後輩たちはいつの間にか俺の身長に近付いていて。可愛くないなと思うけど、こうやっていっぱいの愛情表現をして懐いてくるこいつらはやっぱり可愛いと思う。これじゃ三年前のあの先輩みたいだけど。 ぎゅうぎゅうくっついてくるは組の二人を引きはがして、近くで見ていたらしい平太と目があった。にこりと微笑まれたから苦笑を返した。 じゃあまた委員会でー! そう行って元気に手を振り去っていく二人にこちらも手を振り返す。くるりと振り返ると近距離に平太がいた。 「ぅ、わっ」 驚いて思わず身を引こうとしたら腕をとられる。俺の腕を掴む平太の表情はどこか真剣で、 「へ…い、た。お前、行かないのか」 「は組は補習なだけです。僕はもう授業終わっているので」 「そっか…」 沈黙が流れる。 腕を無理に引くわけにもいかずに戸惑う俺の視界に平太が持つ小さな箱が見えた。 「あ、お前もチョコ、誰かに」 「先輩は!誰かに、あげたんですか」 「へ?や、チョコなんて俺には高くて…」 「…………」 「平太?」 俺の言葉を遮ったと思ったら俺の返答に再び黙りこくる平太に声をかけると、平太はそれまで掴んでいた俺の腕を離して持っていた箱の蓋をあけて中の物を一つ自分の口に放り込む。 それをぽかんと見ていたら、また腕を取られて今度は強く引かれて。あ、と思った時には平太の唇が俺の唇に重なっていた。 阿呆みたいに開いてた口へ簡単に侵入してきた平太の舌が俺の口腔内へ何かを押し込んで、離れていく。 「愛なら……富松先輩への愛なら、喜三太にもしんべヱにも負けませんから」 そう言って残りが入った箱を俺の手に乗せて、立ち去った。 残ったのは真っ赤になっているであろう俺と、口の中の甘ったるいチョコ。 「あま……」 VD平富。 恥ずかしいこともやってのける平太様だと思います。平太様は場所なんて気にしません。 |