*突然の孫→富*
*孫兵キャラ崩壊中*









これはいったいなんだろう。
これはいったいどういうことなのだろう。
どうして突然それはきたのか。
僕には全然わからない。
わからないけど、唐突にきたのだ。
何か、得体の知れないものが、心のそこに、がつんときたのだ。
何がいったいそうさせたのか。
まったく持ってわからないままに、僕は、僕の心は、たった一人に持ってかれてしまっていた。

「どういうことだろう・・ねぇ、ジュンコ・・・」

あちらこちらに視線をさまよわせて、僕は首もとにいるジュンコを優しく撫でる。
いつもであれば、それだけで心は落ち着くというのに、今日は全然、効果が無い。
どくどくと打ち付ける心臓が、その音が、とてもやかましいよ。
どうしよう。

途方にくれて、とりあえず、何も考えないままに、足を進めた。
じっとしていられない。
どうしよう。
いや、どうする事もできないけれど。
何でだろう。
何があってそうなっているのかわからない。
そわそわとしながら、頭の中をしめるそれに意識がどんどん持っていかれる。
時間がたてばたつほど・・冷静になれなくなっていく。
何だろう。
何でだろう。
もう、いいかげん、止めたい思考。
あぁ、ねえ、何でこんなに、突然ガツンときたんだろう。
ただ、今日は、いつも通り、委員会の担当で、餌当番で、飼育小屋に行ったら、小屋の前でしゃがみこんで、ウサギを嬉しそうに見てる作兵衛がいたんだ。
それで、僕に気付いた作兵衛は、餌やり手伝っていいか?って聞いてきたから、うんって僕はうなづいて、二人で餌をあげた。
それが終わった時に、何か、作兵衛が僕を見てたから、何って聞いたら、にっこり笑って、今日はジュンコがちゃんといるなってジュンコを撫でてくれた。
それだけだった。
それが、なんだか、ガツンと来て。
僕は、そこから動けなくなった。
餌やりも終わってて、じゃあ、行くなって、作兵衛はいなくなってったんだ。
餌やりさせてくれてありがとうとか。
何か、それおかしいよね。
僕が手伝ってもらったほうのはずなのにな。
でも、普段の僕なら、ありがとうとか言われても、そんな、違和感きっと感じなかったんじゃないかって思うんだ。
そうだよ。
そんな、そっちがやりたいって言ったから、まぁ、それでありがとうなんだろうって、気にしなかった。
普段なら気にしないんだ。
わかってる。
わかるよ。
何か、こう、ガツンときたそれのせいだって。
でも、何で?
何で突然そうなったんだろう?
ねえ、ねえ・・!!

気がついていたら、足が、地面を蹴って、駆け出していた。
凄い速さで通り過ぎていく景色。
君がどこにいるかなんて、知らないけど、なんとなくは思いつく。
だって、よく一緒にいるし。
仲のいい友達だし。
そう、友達だったんだ。
さっきまで。
さっきまでは、ただの友達だった。
ねえ、作兵衛、君は、僕に何をしたの?

「作兵衛!」
「おわっ!孫兵!?」

かけていった先に見つけた姿。
それに、半ばぶつかるように突撃していって、名前を呼んだ。
驚いた声が、僕の名前を呼ぶ。
さっきから、鼓動がうるさいのに、もっともっと騒がしくなる。
もう、なんで。
なんで。
なんで。

「作兵衛、何をしたの!?」
「な、何が!?」
「なんで、こんなに、心臓がうるさいのかとか、頭の中が一杯なのとか、もう、わけがわからないよ!」
「お、俺のほうが、わけがわからないんだけど!」
「作兵衛のせいなのに、何で、作兵衛がわけわかんないって思うの!!」

二人で叫びあう中、ぎゅぎゅうっとその手を握り締める。
この手のひらの熱さはなに?
何でこんなに、熱くて、柔らかくて、でもしっかりしてて、それでもって、離しがたいの?
おかしいよ。

「作兵衛・・作兵衛の、せいなのに。」
「だから、何が、俺のせいなんだ?なあ、わかるように話せよ。な?」

優しい声が、あやすように僕に降ってくる。
そんな声音で、ゆるやかに話しかけられたのは、初めてだ。
胸が苦しい。
きっと作兵衛の事だから、取り乱したりした相手がいれば、誰にだって、そうやるんだろうな。
わかるけど、胸が騒ぐんだ。
どきどきとうるさいんだ。
君が好き。
君が好き。
君が好き。
この手が好き。
この目が好き。
この声が好き。
さっき何かが僕に衝撃を与えた時から、歯止めの利かない何かに占拠されて、暴走するんだ。
好きって気持ち。
大好きだと叫ぶ気持ち。
はちきれそうな、鼓動がしてるよ。

「作兵衛、さっき、ジュンコを撫でたよね。」
「撫でたな。」
「良かったなって、僕に笑いかけたよね。」
「笑ったけど・・・」
「何で?」
「何が!?」
「何で、良かったなって言ったの?何で撫でたの?何で笑ったの?何で・・・」

言葉が詰まった。
きっと、あんなことがなかったら、今もずっと、同じ関係だったはずなんだ。
だっていきなりきたんだもの。
何でもなかったはずの存在が、特別なものになってしまった。

「何で、作兵衛は、僕にも優しくできるの?」
「え・・・?」

誰もが引く線を、君は引かない。
笑う。
笑って触れて優しくする。
ほんとはきっとずっと好きだったのかもしれない。

「何でって、そんな、理由なんか、別に」
「無いの?何で!」
「え、えぇ!?それこそ、理由なんてねぇって。」

困り顔が、目の前に広がる。
優しくする君。
理由なんて無いの?
ほんとにないの?
そんなの・・・

「困る!」
「はあぁ!?困ってんのは、俺だっての!」
「僕も困ってる!理由がないなら、作ってよ!今すぐ答えを作って、僕にちょうだい。」

僕のためだけに、それが欲しい。
握った手は、離さない。
逃がさない。
だって、打ち付けられた気持ちが、騒いでる。
作兵衛が与えた気持ちなんだ。
君のせいでここに灯って、君のために揺らぎ続ける。

「作兵衛が好きなんだ。特別で、大好きなんだ。だから、作兵衛の気持ちに理由を付けてくれなかったら、僕はどこにもいけれない!」

胸の内をすべて叫んだ。
だって、さっきから頭の中がいっぱいなんだもの。
さっきから、胸の内が爆発しそうなんだもの。
さっきから、叫びたくて仕方がなかったのだもの。
好き好き大好き。
君が優しい理由が欲しい。
握ったその手が、ぷるぷるとふるえだして、目の前の顔が、見る間に赤く染まっていった。
あ、何かかわいいと思ったの持つかの間。
左の頬に衝撃が走ったかと思ったら、視界から作兵衛が消えた。



「・・・好きの答えは、くれないのかなぁ・・・」
「・・突然変なこと、ここで呟かないでくれるかな。」

ポツリ言ったら、柔らかな声が返った。
目の前には天井の木目。

「何で孫兵、頬なんて殴られて気絶してたの?」

数馬が首を傾げている。

どうやら作兵衛には逃げられたらしいと僕は一人頷いて、すっくと立ち上がった。

「恋に障害は付き物だから。」

数馬の疑問に簡潔に答えて、僕は保健室から駆け出した。
台詞の異様さに、数馬が体を固まらせたことには気づかないまま。
もう一回、問に行こう。
優しい理由を。
触れる理由を。
笑う理由を。
答えがないなら作ればいいよ。
僕の元に、何でもない日常が、突然ガツンときたように。
君も唐突に落ちればいいでしょ。
好きだよ。
大好き。

だから、僕と恋仲になろう。








************
わけがわからない。(^P^)
孫兵の大暴走すみません。
何でこうなったかは、私にもわかりませんでした。
私の元にも、何かが突然やってきたのでした。

藤森さんへの、相互記念に孫富を考えていたらこんなことに…!
こ、こんなんでよろしかったら、もらってやってくれますでしょうか?
おそまつさまでした!

20110204









鈴鳴廊のしゅかさんに相互記念でいただいてしまいました…!
うおおお孫富!孫富!
ホント私得でもう…もう……っ
ありがとうございました!!





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