ふと、閉じ込めてみたいと思った。 彼はいつも忙しそうで、僕はそんな彼を見ているだけ。 目を離すと直ぐにいなくなる迷子を捜して、度々脱走する毒虫や毒蛇を捕まえて、予習と称して直ぐに物を壊す友人を叱って。ほんのたまに穴に落ちたり転んだりしている僕の手を引いてくれるけれど、僕のことを助けてくれるのは大体同じ組の友人だから、やっぱり彼が僕のことを見ることは少ない訳で。 たまに、助けてくれる友人を、邪魔だと思う。 だって君の方が彼に見てもらえるのに、ぼくの唯一の機会をさらっと奪うのだから。 助けてくれなくていいのに。 そんな事、思ったらいけないのは分かってる。でも、僕以外を見ている彼を見ると、僕の中のどす黒い何かがお腹の周りで燻ぶるんだ。その度に、彼を閉じ込めてしまいたいと思ってしまう。 あぁ、僕って嫌な奴。 はっきりと彼に言えるはずないのに。 言えないのに。 行動には、移せちゃうんだから、さ。 ね、作兵衛。 「その紐、君に合うと思って用意したんだ」 うん、似合ってる。可愛いよ 閉じ込めてしまおうか (そうしたら、僕と君はずぅっと一緒だろう?) |