※現パロ大学生



俺は大学に通う何処にでもいる普通の学生で、ただここ最近新しい研究とかプレゼンの為に少しきつい生活をしていた。
一人暮らしをしているアパートから大学までは電車で8駅程度。毎朝ぎゅうぎゅうの満員電車に乗って通い、帰りは終電間近の電車で帰る。
今日もいつも通り時間が許すかぎり残って作業をした後に終電電車に飛び乗った。
珍しく意外と空いていて運よく座ることが出来た。まだ20になったばっかだけど流石に疲れた後8駅も立ちっぱなしは辛い。

「(疲れた…眠い……)」

リズムよく揺れる電車に眠気を誘われてしまう。ダメだと思いつつも俺は何時しか瞼を閉じてしまった。



『終点、終点〜。ご利用ありがとうございました。この電車は回送列車となり車庫に……』

「!」

車内アナウンスで俺は目を覚ました。終点?今終点って言ったのか?
心臓がドクドクいってる。ああしまった。明日も朝早いのにまさか終点まで乗り過ごしてしまうなんて。そう後悔して、ふと自分が誰かの肩に寄りかかっていることに気付く。

「!?う、わっ」
「あ、起きたんだ。おはよう」
「え、あ、え?あ、すみません!」

ガバッと起き上がる。隣にいたのは俺と同じくらいの男。前髪メッシュに少しチャラいイメージを与えるような服装。でもまぁ所謂イケメンの部類に称される顔つきだ。
人の良さそうな微笑みを見せて彼が口を開く。

「とりあえず、出ようか。車庫には入りたくないよな」
「え、あぁ…」

そう言われて慌てて鞄をつかむ。そして二人で外へ出た。
春先といえどまだ寒い。とくにこの終点駅は少し田舎の方らしく、自宅の周りよりも気温が低く感じた。

「寒…」
「大丈夫?マフラー貸してあげようか」
「いや、そこまでしてもらう訳には…すみませんでした…」

マフラーを外そうとする男を止め、頭を下げる。すると頭上でくすりと笑う気配がした。

「いいよ大丈夫。あんた疲れてるみたいだから起こせなかったんだよ」
「あ…本当に悪い…駅ここじゃないだろ?」
「まーな。でもまぁ人助けかなと。俺次屋三之助。あんたは?」
「と、富松作兵衛…」
「富松ね。あんまり無理はしちゃダメだぜ?身体壊したら元も子もないんだからさ」

にっこりと笑う次屋。今の時代こんな人のいいやつが存在するなんて思いもしなかった。しかもこんな若い奴が。軽く感動だ。
しかしここは都会から遠く離れた駅で、俺は明日も学校で、あぁこれからどうすればいいんだ?
ふと、混乱した俺の頭を次屋が撫でた。視線をあげると苦笑した彼。

「俺ね、昔親を過労で亡くしてるんだ。富松の疲れた顔みて思い出したんだよな。お節介してごめん」
「いや、別に寝た俺が悪いんだし…お前の心遣いはありがたい」
「そう?ならよかった」

ふわりと笑った次屋はすごく綺麗だった。俺は自然と目を奪われる。うわ、なんだこれ、すごい顔が熱い。
とりあえず、もう電車もないので近くのホテルを探すことにした。流石に延々と線路沿いを歩くのは無理だ。明日の朝、始発で戻ればなんとなかると信じてる。






衝撃的な出会いをしました
(彼が同じアパートに住んでることに気付くのはまた後の話。)









過去に書いた文見返してたらやたら次富っぽいと思って書き直してみた。次屋がいい人すぎるよね…



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