※現パロ高校生





いつもよりも委員会が長引いて帰りが遅くなってしまった。帰りの電車は時間のせいか少し混んでいたけど運良く近くの空いている席に座れたから良かった。
トンッ

「うぇ?」

ボーっとしてたら急に右肩に重みがかかった。その方向を見ると俺の肩にもたれかかっている人が。茶髪と眼鏡。よく見ると制服着てて、それが俺と同じもので。タイの色が一つ上の人だって教えてくれた。
男に寄り掛かられても全く嬉しくないけど先輩を無下には出来ない。でも起こすにはしのびない。だから俺はこの人が起きるまで、自分が降りるべき駅まではこの状態をキープしようと思った。
しかしこの人が降りる駅はどこなんだろう。きちんと降りるべき駅で起きるのかな。けして心配してる訳じゃないけど。でも凄く疲れた顔してる。こんなになるほど何を頑張ったんだろう。

『次はー○○ー○○ー。お降りの方は…』

好奇心を疼かせていたら、いつの間にか自分が降りるべき駅まであと一駅になっていた。
どうしよう。どうすればいい?いや、普通に立ち上がって降りればいいのは分かってるけど、そしたらこの人起こすよな。降りる訳じゃないのに起こすのはなんだか悪い気がする。なんでそう思うのか分からないけど、なんかこう、俺の第六感的な何かがそう働きかけてるんだきっと。

『次はー△△ー』

考えてるうちに最寄り駅に着いてしまった。この人が起きる気配はない。うんもーいいや。起きるまでこのままで。
プシューと音がしてドアが閉まる。まぁ別に終電って訳でもないから問題はない。予定があるわけでもないし。
そしたら丁度、今空いたこの人の隣に人が座った。

「ん……」
「!」

その振動で、ゆっくりと目が開く。数回目をパチパチさせたあと自分の状態に気付いたのかバッと起き上がった。

「うわっ、わ!」

俺より少し高めの声が焦ったように上擦る。赤くなった頬と口元を袖で隠して、目の前の人は俺を凝視した。

「わ、悪い…」
「いえ、大丈夫です」
「うわー…最悪だ……。ホントごめんな?…あ!つーか此処どこだ!?」
「ついさっき△△過ぎたとこです」

気まずそうに謝ってきた後、すぐ慌てたようにキョロキョロと辺りを見回す。慌ただしい人だ。でも悪い人ではない、みたい。

「はー…良かったまだだ。あれ、お前ずっと肩貸しててくれたのか?自分は平気?」
「あ、俺は△△…」
「今過ぎたとこじゃねーか!あああマジ悪い!」
「いいんです好きでやったんで」

慌てる先輩に苦笑する。うん、でも俺は意外と満足してるかも。
それでも謝る先輩に次の駅で降りて戻ると伝えると申し訳なさそうな表情でもう一度ごめんと言われた。

『次はー』
「じゃあ失礼します」
「おぅ。えっと…同じ学校だよな?一個下の」
「はい。1年A組の池田です」
「池田な。俺2Bの富松。明日なんか昼飯でも奢るわ」
「気にしないでいっスよ?じゃ」

電車が止まり俺は立ち上がる。ありがとな、って聞こえた声に軽く頭を下げて電車を降りた。
なんだかすごく気分がいい。なんだろうこれ。とりあえず、明日先輩が俺を訪ねて来てくれるんだろうなと、何故か心が躍った。

「とまつ、先輩」














電車ネタその2。次富の次は池富。
むしろ無自覚で池→富。
今後仲良く?なった二人は喧嘩しあうような仲になる。きっと。でもこの池田はわりとデレが多いよね。



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