現パロ





最近、夢を見る。
内容は全く覚えていない、でも毎日同じ夢。
懐かしくて、苦しくて、だけど凄く愛しくて。そんな夢を見る。

「なんでだと思う?」
「知るか」
「予知夢とか?最近読んだ本に載ってた」

不思議に思った俺は級友に尋ねてみると、冷たいものと本の虫からの返事。予知夢。近いようで遠い。予知、ではないと思うんだ。

「んー、何かの前兆とか?池ちゃんが見た夢、いつも同じ人が出てくるんでしょ」

ぽやーっとした隣のクラスの幼なじみが口を開く。
そう、いつも同じ。顔や声は思い出せないけど考えるだけで愛しくて仕方がない人。

「その人にもうすぐ会えるんだよ、きっと」






その日の帰り道、仲の良い奴らはみんな委員会だ部活だで予定が合わなくて、委員会も部活もどちらもない俺は一人で帰路についていた。
駅へ向かう道中、考えるのは夢のこと。それと幼なじみに言われた台詞。

「もうすぐ会える、ね」

本当に会えたらいい。
会えたら、きっと生意気なこと言うだろうけど、俺の性格じゃ難しいかもしれないけど。精一杯。精一杯、素直になる努力をしよう。そして今度こそ、幸せに。

『電車が参ります。危ないですので、黄色い線の〜』

駅のホームに立ち、自分が乗る電車が来るのを待つ。アナウンスがかかり、少しだけ煩い音と風を運んで電車が止まった。
車内は多少混み合っているがぎゅうぎゅうと押し潰されるような混み方はしていなくて楽に立ってられる。そう思いながらドアの近くに陣取って閉まるのを待った。

『ドアが閉まります。ご注意下さい』
「うわぁ待った待った乗ります!」

再びアナウンスが流れドアが閉まろうとした瞬間、バタバタと駆け込んできた人。多分きっと同じくらいの高校生。

「っぶねー…ったく三之助と左門のせいでまた乗り遅れるとこだったっつの」

ドクン、
心拍数があがる。駆け込んできた高校生の真ん中分けの少し跳ねた髪だとか、ちょっと高めの声だとか、口の悪いところだとか。懐かしい。懐かしくて、愛しくて、会いたくて仕方がなかった。

「あいつらの迷子は治んねーのかって……」

目が合う。
ぶつぶつとぼやいていたその人は、俺と目が合うとぴたりと口を閉じ、目を見開いた。呆気にとられた間抜けな顔。多分、俺も同じような顔をしてるんだろう。

「い……け、だ」
「……富松、センパイ」




貴方に逢うために僕はここにいる
(初めまして、お久しぶりです)
(日本語になってねぇな)
(早速ですがセンパイ、好きです付き合ってくださいむしろ付き合え答えは聞いてない)
(………顔真っ赤だぞ)







さぁ、今から幸せになろうか!




「次会う時は幸せな世で」にリンクしてます。お互い再会するまでは室町の記憶はなし。再会しても完全に思い出す訳じゃなくてなんとなく〜ってイメージ。でも愛しい気持ちは変わらない。魂に埋め込まれてる。そんな感じで。

ちなみに作兵衛は高二、池田は高一。お互い通う高校からの最寄り駅が実は一緒でした的な。



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