高校に入学してから二週間が経った。殆どの授業がオリエンテーションから本来の内容に移り、次第に慣れはじめている。
あれから三之助と数馬には接触していない。避けてる、と言ったほうが正しいのかもしれない。会ってもきっと、上手く会話なんか出来ないから。クラスが離れていて心底安心した。

「富松ー、今日遊んで帰らねぇ?」

友人は出来た。
たまに遊んだり、一緒に帰る程度の友人。けして深入りはしない。

「わり、今日用事あんだよ。また誘ってくんね?」

当たり障りのないよう断って帰路につく。用事があるのはけして嘘ではない。今日は母親がいないから、家のことは全部自分でやらなきゃならないのだ。
昇降口を出て、駐輪場に向かって歩みだす。そこで見つけた、三之助と数馬の姿。

「っ…!」

会わないよう関わらないよう避けていたので、急に視界にはいった姿に心拍数があがる。
そうか、あいつらは友達になれたのか。
安堵と少しの寂しさを覚え、そんな自分に苦笑する。関わらないって言ったばっかななにな。どうしても気になるみたいだ。
呆れつつ、二人を視界からはずして再び駐輪場へと歩みだす。

「富松作兵衛!!」
「!」
不意に呼ばれて跳ね上がる。
嘘だろ。聞き間違いだ。

「おい、富松!」

……聞き間違いじゃない。呼んでる、三之助が。
どうしよう、どうすればいい?
もし俺が耐えきれなくて下手に喋っておかしな奴だって思われたらどうするんだ。
追いつめられた俺がとった行動は、逃げることだった。







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