夢を、見た。



俺は忍術学園にいた。
萌黄の装束を纏い、級友達と笑っている。三之助がいて、左門がいて、孫兵がいて、数馬がいて、藤内がいて。みんな笑ってた。
いつもみたいに迷子どもが居なくなって、いつも通り探しに行って。藤内が予習と称して学園を壊して数馬が穴に落ちて、孫兵がペットを逃がす。
変わらない日常。変わらない奴ら。
あぁくそ、お前らに会いたい。

また、二人が居なくなった。
俺は探し出す。他の奴らに協力してもらおうと思ったけど、誰もいない。だから一人で森に入った。
声を出して名を呼ぶ。なんとなく、あいつらがいる場所が分かるんだ。いつだってあいつらがいる場所に足が自然と向かうんだ。だから今日だって見付けられる。俺なら絶対に見付けてやれる。
あぁ、でもここにはいない。ここにも、こっちも。なんでだ?あいつらが分からない。他の奴らもどこにいるのか分からない。いつも見付けてたのに。俺はあいつらを見付けなきゃならないのに。

俺は、取り残されてしまったのか?






「………っ」

不意に目が覚める。
嫌な汗をかいていた。ゆっくりと起き上がり、時間を確認するとまだ普段の起床時間よりは早かった。
嫌な夢を見た。
でも俺は、三之助も数馬も見付けることが出来ただろ。取り残されてなんかない。漸く見付けたんだ。会いたくて仕方なかったんだ。
……けど、三之助には記憶はなかった。もしかしたら数馬だってないかもしれない。そんな状態で見付けたなんて言えるのか。結局俺は、一人のままなんじゃないか。








ああ…本当に、嫌な夢を見た。




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