もしもの話


「……なんさ、こんな空間に呼び出して」
「さぁ、本来家から出ない私がいるくらいだから、そうとう異質な世界でしょうね」
「普通にあれじゃね? たぶん夢の世界、とかでいいんじゃね?」
「なんさ、こんな世界綺麗なモノが全くないさ。さっさと出て行くんだわさ」
「全くってそりゃないんじゃねーの? 一応俺ら、キャラアンケートのトップ3なんだけど」
「いつの間にそんなことがされてたんです? 私は紅茶と本さえあればそれで良いのに。こんな世界に呼び出されるくらいなら、時間を戻して過去に行きたいくらいです」
「とか言ってその言い方、もしかしてあたしが1位であることへの当てつけかい? 過去に戻ったとしても、あんさんが1位になれる要素はこれっぽっちもないよ」
「べつにアンケートの話はしてないません。ましてや1票差で勝っただなんて思わないで頂きたい」
「……なんだよこいつら。夢の世界だからって言いたい放題じゃねーか」
「あんさんだって本来描かれないはずの3位なんさ。なに大きな顔してるんさ」
「別に俺だってこんなとこいたくないっつの。ついでに言うと俺も帽子屋と1票差だったんだけど」
「1票差という差は、それだけでも確実な差です」
「言ってることさっきと違うんだけど?」
「これがおこぼれでここにいるあんさんとあたしらの違いさね」
「イヤミのはけ口がなぜか俺に来たし。くそ、マシンガントーカーのツッコミねーからマジきつい」
「というか、異世界のお嬢さんがいないってのはどういうことさ?」
「さぁ、影が薄いからじゃないですか?」
「お前ら主役になんてことを!」
「まぁ、あたしに任せりゃ今度綺麗にしてあげるのさ。もっと化粧っ気出して服のセンスあげなきゃ目立つなんてムリなのさ」
「蝶子さん、それは作者の首を絞めてるぞ」
「まぁ、そこがあの子の良いところなんですよ。化粧の香りも煌びやかすぎるヒトは苦手です」
「まぁいいさ。あたしが1位なんて気分がいいのさ。あんさんらも、あたしを見習って今後とも励みなよ」
「俺は俺でいいんだよ」
「私も私で良いです。そこそこ人気ありますし」
「だからなんでそういうこと言う!?」
「ま、今後ともどうぞよろしくさね」
「誰があんた等とよろしくしてやるか」
「何言ってるんですか? 貴方ではなく皆さんに対してですよ」
「皆って誰だよ」
「3位には見えない皆さんさね」
「って、何それ」
「ここまでこられたのは皆さんのお陰です。感謝してもしたりません」
「え、なに帽子屋がデレてんの?」
「最後にこの台詞で締めるとするかね」
「全然ついていけないんだけど」
「「星に願いを」」
「も、もう…知らね」




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