鮮やかに恋 ( 5 / 5 )

......


それから翔とは、神野さんの話、体育祭の話、美味しいご飯を食べながら、他愛もない話をたくさんした。
楽しかった。嬉しかった。


「…良かったじゃねーか」

先生は目を閉じて、優しく微笑む。
その表情にまた、胸が鳴った。

部活を終え帰ろうとする先生を引き留めて、今日あった出来事を隅から隅まで話す。先生は所々に相槌を打ちながら、ぜんぶを聞いてくれた。俺の嬉しいも楽しいもわかってくれた。

誰もいない体育館のそばで、二人の時間を噛み締める。心臓のドキドキは、だんだん大きくなってくる。

…そろそろ、本題に入らねば。


「そういえばお前、出なきゃないんだろ、寮」


…と、思っていたのに。

先生の方から本日のメインイベントに踏み切ってきた。まさかの展開に、心臓は一気にボリュームを上げる。

「え、ああ、うん…」
「どーすんだ、家」
「…どーしよっか」
「決めてねぇのか」
「あ、当たり前じゃん!今朝決まったんだし…」
「昨日の時点でだいたい予想はつくだろ」
「そんなこと言ったって…」



「………じゃあよ、」

たっぷりと間を取ったあと、先生はおもむろにポケットの中を探り始める。



「一緒に住むか」

先生の手に光る銀色。それが差し出されるのにつられて俺からも手を出すと、手のひらに落ちた。



「………え…、どこの、鍵?」
「俺ん家に決まってんだろ」
「…いつの間に作ったし」
「今日の昼に抜けてきた」
「…乙」
「うるせ」

バカみたいに、手の上の鍵を見つめてた。
そうしたら、先生の手が、俺の頬を拐った。


「…覚悟、決めたんだよ」


…思えば、あれは4月。

嘘のような、俺のヒトメボレから始まったんだ。

楽しいことも嬉しいことも、悲しいこともつらいことも、くるりくるり毎日は巡っていく。

そこにはいつも、先生がいた。


「…彰太」



ああ、どうしよう。
泣きそう、だ。



「ずっと、俺の隣にいてほしい」



今までも、これからも。

幸せな日も、不幸せな日も。

先生と過ごす、毎日を。



「…はい。」



二人で彩る、鮮やかな恋。











e n d ?


Special thanx!
>>hoshino.

>>and you!


2011.06.20.




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