真っ赤に熟れる ( 2 / 3 )



「おー、なんだ、久々に見たな。家はもういいのか?」
「や、また来週行かなきゃないんですけどね。一旦帰ってきたんです、先生が寂しいだろうから!」
「ああ、寂しかった寂しかった。」
「えー、なんか棒読みじゃないですかー?」
「んなことねーよ?」

ネクタイの色は緑、2年生だ。その人は、親しげに先生とお喋り。先生はキーボードを打つ手を止めて、その2年生と談笑している。

…あれ?

なんだか、仲良し。俺には素っ気ないのに。

…なに?

え、俺だけ、なのかな。とんだ勘違い、ってやつ?あれも冗談なの?

ざわざわ、胸の中がずっと鳴っていた。




......




今日もいっぱい食べた。翔には、そんなに食ってよく動けるな、といつも(呆れ気味に)感心される。
だって、食というものは、俺のエネルギーなのです。食べないと、やってられません。あ、少しでもデカくなるように、牛乳だって忘れません。

そして昼練の時間。昼練は自主練習になっているから、1年生でも気兼ねなく、シュート練習や、1年だけで試合形式(人数が足りないから、本格的ではないけど)とか、ボールを使った練習ができる。まあ、もともとうちの部の先輩方は、下の学年にも当然のようにボールを使わせてくれるから、不満を昼練で晴らすとか、そういうつもりではないんだけど。
嵐さんや武市さん、雅紀さんたちのプレーを見ていると、俺ももっと上手くなりたい、って気持ちがフツフツと湧いてくるのだ。

ゆえに、今日も俺は昼練に繰り出す。


…と、その前に。

「キヨちゃん!藤高先生、知らない?」

…先生の真意を、確かめたい。

「藤高先生?そろそろメシ終わって、戻ってくるんじゃないか?」

ありがとう、と童顔の担任に手を振って、俺は階段を駆け下りる。






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