彩り開花 ( 2 / 3 )



「はい、じゃあ、教科係を決めますかね。やりたい奴ー」

そう言って、彼は教卓に置いてある座席表に目をやった。
教科係、ってのは、授業前に先生のところに行って授業の内容を訊いたり、授業で使う教材を教室に運ぶ係で、だいたいの教科に存在する。
しかしそんなめんどくさいモノ、やりたがる奴など居ないワケで。クラス中が「えー!」とか「嫌だー!」とか言っている。

…ただひとりを除いて。



「はいっ!」
「お、…辻本、だな。じゃあお前決まりね」



コトは一瞬で済んだ。

…一瞬すぎて、俺もビックリした。
俺史上最高にキレイな挙手をかましてやると、隣の席に座る翔が、こしょこしょと小さな声で囁く。

「しょ、彰太!本当に教科係やるの?」
「そーだよ。なんで?」
「え、面倒じゃん!」
「はーい、そこ…藤咲か、面倒だと思うならてめーも手伝ってヤレな」
「え゙っ…」

翔の口から思わず飛び出た本音を先生は聞き逃さなかったようで。
搾られたような翔の声に、クラスがまた笑った。




......




結局、今日の数学の時間は最初の時間ということで、マトモな授業はせず、授業の進め方やら、先生の自己紹介、といったカンジで終わった。
先生は見た目に反してトークが上手で、時たま交える冗談も面白く、高校で最初の数学の授業は、クラス一同、爆笑のうちに終わったのだった。

そして、放課後。


「お願いします!」

これから部活が始まる。先輩たちはまだ居ない。シィンとした体育館に俺の声が反響した。
体育館に挨拶、は、小学校の頃から習慣として身に染み付いている。この体育館に「練習をさせていただく」のだから、挨拶をするのは当然のことで、欠かしたことはない。

…6時間頑張った後の部活があるから、1日頑張れるんだよなあ。

いい加減、運動したくてウズウズしてきた身体を抑え、シューズを履いて、身体を解して、ぴょんぴょん跳ねてみる。

…ん、いいカンジ。


「お、元気いーなー!」

するとその時、後ろから声が飛んできた。振り向けば、昨日の部活見学で華麗なプレーを披露していた部長さんと2年の先輩が立っている。





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