▼ 後悔 : 1 / 12
おれが通うこの学校、全国でも有名な進学校である。
それなのに、こんなにもイベントごとが多いのは何故なのだろうか。
「いらっしゃいませーーー!!」
伝統ある学び舎は生徒たちによって好き勝手な装飾が施され、普段の面影はほとんど無い。生徒が身に纏う衣装も、騒がしいほどきらびやかなものが大多数。
こんな手の込んだことをする暇があるなら、お勉学に励むべきではないのかと、一学年首席として真っ当な意識を少しばかりは抱いているのだが。
しかし、せっかくのお祭りムードに水を差すのも野暮な話で。
本来なら女子が纏うべきある可愛らしい衣装を恥ずかしげもなく着こなし、男子高校生にしてはさほど低くない声を最大限に活かして、見事に軽音楽を愛する女子高生に変身してみせたクラスメイト、彰太からは、そう思わせるほどのパワーを感じた。感じてしまった。
「ほら、翔も!」
「い、イラッシャイマセー…」
その押しに負けてできあがったのが、おれ。ベーシストもどき。
ついこの間、2回目の体育祭を終えたと思ったのに今度は学園祭。いくつもの有名大学を進路に選ぶエリート学校とは思えないスケジュールだ。
bkm
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