衝撃 : 1 / 17


『やる気あんのかテメーらアァアアァアアア!!!』

「うぉおぉおぉぉぉお!!」

地の底から轟くかのようなヤロウ共の怒号が、だだっ広い校庭にこだまする。
彼らほどの情熱を持ち合わせてはいない俺は、一歩引いた心持ちでそれを眺めた。

暦の上ではとっくに8月は幕を閉じ、季節は秋へと移り変わっていくはずなのに、未だに真夏のような日差しがジリジリと照りつけている。
秋といえば、食欲の秋、芸術の秋、読書の秋、など人により没頭できるものがあるだろう。現在、わが校ではスポーツの秋真っ盛りである。
そう、体育祭。
いや、6月にやったじゃん。
というツッコミは今年入学した1年生の誰もが抱いたことだろう。
6月の体育祭の中身はクラス対抗の球技大会、9月の体育祭は、A〜E組までの五組の1年生から3年生までが連合軍となり、徒競走やら騎馬戦やらで争う、大運動会なのだ。先輩たちはそれぞれ、夏の陣、秋の陣と呼んでいるらしい。
さらに今回の秋の陣、優勝した軍には学食で使える食券1ヶ月分、さらにMVPに選ばれたクラスには食券3ヶ月分が授与されるとあり、生徒のほとんどがガチなのである。

『第一レーン、2年A組─…』

まるでこの世の終わりのような、生徒会副会長の喝が終わるや否や、放送委員会による徒競走の選手を呼ぶアナウンスが響く。名前を呼ばれた2年の生徒は、わあぁと盛り上がるチームメイトに手を振り、一礼した。



bkm


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