思惑1 : 1 / 12



「かけるー」
「ん?」
「俺、こんな短い終業式、初めてなんですけど。」
「…おれも。」
「逆に不安になるよね」

全校生徒を詰め込んだ真夏の体育館は、それはもう、爆発的な暑さを誇っていた。
そんな地獄の箱を後にして、生徒たちでガヤガヤと騒がしい渡り廊下を、俺と彰太とハルくんの三人で、教室を目指し足を進めている。

学生が夏休みを迎える為の儀式といえば、長い長い終業式。式自体は短いものなのだけれど、蒸し暑い体育館に押し込められ、校長先生の面白くもない話を聞かされるともなれば、誰だって永遠を感じてしまうだろう。
なのに、それが常であったはずの校長の長話が「暑さに負けず学生を楽しんで下さい。以上。」という一言で済まされたとなれば、逆に物足りなさを覚えるんじゃないかと、思う。

…たった今、俺たち三人は、そんな状況です。


「…夏休みかあ。別に、普段通り寮にいると思うと、どうってことないな」
「俺は部活の時間が増えるからな!楽しみ!」
「俺だって部活あるけど…運動部じゃないからな、そんな頻繁には無いし」

そう言うハルくんは、実は仲間内だけで組んでいる軽音部に所属していて、ボーカルの担当らしい。最近は、恭祐くんに借りてギターの練習もしているみたい。

彰太が所属するバスケ部は毎日練習があるし、ハルくんだって、そこまでの頻度ではないにしろ、部活に所属しているのだから、良い方。

…俺、無所属、ただの暇人。

今度こそ家に帰ろうか。母さん、また変なコト言って親父たち、連れ出さなきゃいいけど。後で電話しておこう。




bkm


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