暴走 : 1 / 14



ぱっちり、目がさめた。

…あ、夢?

一瞬で、ぐるりと脳裏を巡った思い出を眺めて、ぼやけた意識が悟った。
上体だけを起こして、あくびをひとつ。
ふと視線を流せば隣の人は、ワイシャツを羽織ったところだった。

「…起きた?」

その彼は、俺が目をさましたことに気付いて微笑んだ。

…あまりにも美形で、なんだか悔しい。

そんなことを考えているうちに彼は、ぎしり、と俺のベッドに腰かけた。

…そして。




ちゅ

「…おはよう、翔」

頬に触れたその柔らかいモノに、昨日のことが一瞬で蘇る。

…冷たいコンクリートの上で抱き合った身体が、あつくて。



「………おはよ、う」

…夢じゃ、なかった。

あんまりにも自然にキスしてくるから、動揺する。おはようもスムーズに言えない。
頬に残る唇の感触が、何だかくすぐったかった。



そんな俺、藤咲 翔、15歳、男。

初めての、恋人ができました。


…同性の。




SRAP!
相愛編





「あああああああああ!!」

するとその時。
下から、俺たちの部屋までを貫くような悲鳴が響いた。

…この声の主は。

「…嵐くんだ」
「…まあ、この時期なら、アレだろうね」

明らかに尋常じゃないのに、もはや彼の騒がしさにも慣れっこになった俺たち二人は冷静だった。
さっさと着替えて、一階に下りることにする。



bkm


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