覚悟 : 1 / 12


結局のところ。

お勉強会はテスト直前まで行われた。
その甲斐あってか、神野さん、恭祐くん、奏斗くんは順位キープ、雅紀くん、光希くんは3つほど順位を上げたらしい。

…ちなみに、俺は、1年の中では1番だった。

そりゃあ、このアタマで特寮に入ったんだから、当たり前と言えば当たり前のことなのだけど。

…そして、問題の嵐くんはというと。



「…っ、よかったあああ…」

奏斗くん、光希くんの指導の甲斐あって、嵐くんはオール平均点超え、普通寮へ格下げは免れたようだった。
この、心の底から湧き出たかのような彼のため息が、全てを物語っている。
これで心おきなくバスケができるぜ!と、もはや嵐くんは部活のことしか頭にないみたいだ。

…そして、結果を出したのは嵐くんだけではない。

「いやあ、俺も参加して本当に良かったよ」

今日も曇りひとつない笑顔を見せてくれたこの人。

「なんで!慶護!お前が!居るんだよ!さっさと帰れ!」
「だから、今帰るから、お別れとお礼を言いに来たんだよ、嵐くん。」

ガルル、と威嚇の唸り声が聞こえてきそうな程、嵐くんが敵意を示す相手、冴樹 慶護さん(名字は職員室前の順位表で知った)。彼は神野さん、恭祐くんに次いで学年3位の成績を修めたらしい。父親の仕事の手伝いで、今期の半分ほどを休んでいたというのに、だ。

「お陰様で、テストも良い点が取れました。どうもありがとうございました。これで何の心配もなく、仕事に戻れます」

…そんなに仕事に生きるなら学校やめてしまえ、と思ったのは内緒。



bkm


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