▼ 後悔 : 9 / 12
「は…?大丈夫?保健室行く?」
「ううん…大丈夫。……朔哉の顔、見れたし」
別に珍しいわけでもないのに、朔哉が優しいことがなんだか不思議でむず痒くて、だけど、嬉しかった。
…その優しさが、チクリと胸を刺す。
「…どうした、えらい素直だな」
「ん…そうかな…?」
「しかも、スカートなんか履いちゃってさ…」
めくっていい?なんて訊くくせに、俺の許可も待たずにちらちらスカートの中を覗いてくる。必死で妨害するも、両手を拘束されてしまう。
「襲っていいってこと?」
眼前に朔哉の顔が迫る。
思わず目を瞑ると、唇にやわらかい感触が訪れた。そのまま割って入ってくる朔哉の舌を受け入れる。
「……っふ、ちょ、さく、…ここじゃ……」
「やだ?」
…嫌に決まってるだろ。廊下だぞ、ここ。
「……やだ。」
「じゃあ…図書室行こ」
その瞬間、ふわりと身体が浮いた。
「っわ、ちょっ…!」
軽々と抱きかかえられてしまった。
俺だって同じ男なのに。
「さ、朔哉ぁ!!」
俺の抵抗もむなしく、朔哉は埃っぽい階段を難なく上っていった。
bkm
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