後悔 : 8 / 12

「………………ッ」



「……彰太…ごめん、」
「え?どうした?」
「ちょっと、おれ…外の空気、吸ってくる…」」
「翔、具合悪いの?着いていこうか?」
「……いい、大丈夫…」

こんな心境では、とてもじゃないがライブなんて観ていられない。
彰太と光希くんを置いて体育館を出た。

開演間近のライブ会場へ向かう人の波に逆らって歩く。
向かう宛もなく、ただふらふらと校舎内を進んだ。
具合が悪いっていうのはフリだったんだけど、だんだん気分まで沈んでくる。
外部者は立入禁止になっている、校舎の端に位置する階段のところまで来て、壁にもたれてぺたんと腰をおろした。
……そうだ、女装したままだった…。
具合が悪いことを理由にしたら許されるだろうか。もう着替えてしまいたい。
俺のテンションは底辺まで落ちていた。





「………翔?」

そんな折、聞こえた声に俺はえらく驚いた。こんな校舎の隅っこで誰かに見つかるなんて考えもしなかったからだ。



「さ、くや…」

絞り出した声は大変情けない。

「どした、そんな可愛いカッコして…」
「ん、うちの、クラス展示で…」

朔哉はじろじろと俺の頭頂部からつまさきまでを観察して、俺の隣に座った。

「ふーん…で、なんでこんなトコに居るの」
「…他の展示見てたら、なんか疲れちゃって…休んでた…」



bkm


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