後悔 : 7 / 12


『その気にさせてやる』

体育祭のあの一件から、恭祐くんと必要以上に近寄らないようにしてきた。
また迫られたら。
朔哉に見られたら。
そう思うと恭祐くんが怖かった。
もちろんこの件は朔哉にも言えないでいる。
『たった一人を愛することもできないくせに、一度に複数の人の相手をするなんて中途半端なマネは許さない』
入学当時、吐き捨てたセリフ。朔哉という存在がありながら、恭祐くんと唇を合わせたという否応ない事実に、押し潰されそうになる。
もし朔哉にバレでもしたら、また前の朔哉に戻ってしまうだろう。せっかく打ち解けたというのに。


『……翔だから、かな』

朔哉に幻滅されたくない。
せっかく開いてくれた心を、こちらから閉じてしまうようなことはしたくない。






「うわー!人いっぱい!」

彰太の感嘆の声に顔をあげると、たくさんの人で溢れかえる体育館の様子が窺えた。特設のライブ会場はどうやら立ち見のみのようで、生徒も来場者もごちゃ混ぜになって開演を待っている。

「近くまで行けるかな?」
「行くだけ行ってみますかー」

人混みを掻き分け進む。
だんだん近づくステージ。
セッティングされた設備。
そこに立つのは、ハルくんと、バンドメンバーと、




『……翔!』


bkm


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