後悔 : 5 / 12

「あ!かけるー!」

今度は誰だ、と俯いていた顔を上げると、光希くんがとびきりの笑顔で迎えてくれた。

「わーーー!かーわーいーいー!!」
「……もう…やめて…光希くん…」

お願いだからなでなでしないで。
お願いだからスカートめくらないで…。

「わ!そっちの君も可愛いね!」
「彰太でーす!」

お願いだから、打ち解けないで…これ以上ダメージ増やさないで…。
ふたりはおれの気も知らず、きゃっきゃっと手を取り合って騒いでいる。

「あ!もしかして、彰太くんて、藤高先生の!?」
「え、あ、その…まあ、そうなんですけど…」
「君がそうなんだあー、へえー、オッサンやるぅー!」

俺たちに次いで彰太と藤高先生も有名カップルになっているようだ。
光希くんに冷やかされて、彰太には珍しくたじろいでいる。

「―…誰がオッサンだって?」

そんなふたりの背後に立つ、影。
彰太の恋人である張本人、藤高先生だ。

「先生!」
「ホレ、言ってみろ仲條。誰がオッサンだって?」
「俺らみたいなピチピチの高校生から見たら、先生だってオッサンですぅー!」
「……ホントに言いやがったなこのクソガキ…」
「先生!先生!俺、可愛い?」
「おー彰太。なかなか可愛いじゃねーの。あとでちゃんと可愛がってやるからな、覚悟しとけ」
「うわー、未成年淫行でーす!おまわりさーん!」
「うるせーな同意の上なんだから問題ねーだろーが」

目の前で繰り広げられるミニコントに笑う気力も起きず、はあ、と思わず出た溜め息も、誰にも聞き取られず消えていった。


bkm


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