後悔 : 4 / 12


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きゃあきゃあと、黄色い声。
男子校では響くことのない、高い声。

「…翔……女子が…いるぞ……」
「…そりゃそうだ」

名門男子校の学園祭に興味がない女子の方が少ないと思う。
不思議と頭の偏差値も良ければ顔の偏差値も良いうちの生徒たち。女子の媚び売り声がそこかしこで飛び交っていた。

「ちょっと、あの二人、可愛くない?」
「ほんとだー、1年生かな?」

ちらり、声のする方に視線をやると、女性二人組がこちらを見ていた。彰太もそれに気づいたようで、笑顔で手を振っている。

「……やっぱりこのカッコで来るべきじゃなかった…」
「だってハルのライブ終わったら戻らなきゃないんだぞ?着たり脱いだり面倒くさいじゃん」
「……そうだけどさ…」

女子高生の制服姿で公の場に出るだなんて。
こんな醜態をさらすだなんて。
穴があったら入りたい。
入ったきり出たくない。

「そのカッコで神野さんに見つかったら大変だな!」

……絶対ヤられる。
一気に血の気が引いた。
あの人のことだ、夜まで待つとか寮まで戻るとか、そんなことできるワケがない。絶対、使ってない教室とかに連れ込まれて、ヤられる。こんな校内外かかわらず大勢の人がいるところで、見られるかもしれない聞かれるかもしれないリスクなんて負いたくない。これ以上の醜態なぞさらせない。
…冗談じゃない。
そんなおれの気も知らず、のんきにニカッと歯を見せて笑う彰太を殴ってやりたくなった。


bkm


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