衝撃 : 16 / 17

目の前にはブルー、耳を塞ぐ歓声。
ゴールと同時にすっ転んだらしい俺は、グラウンドで天を仰いでいた。

「いってぇ…」

俺の隣でむくりと起き上がる朔哉。首だけを動かして、朔哉を見上げる。

「ハァ…かける……速いな…ハァ…」
「…うん……陸上…やってたから……」
「へぇー……そっかぁ…」

忘れていた思いがよみがえってきた。走ることがこんなに楽しいのはきっと、久しぶりだから、だけではない。


…ズキ、ズキ、ズキ。


それなのに、身体じゅうに響く悲鳴。

「……………ふはっ」

突然、朔哉が吹き出した。

「………なに…」
「いや…かけっこして…楽しいなんて……幼稚園ぶり…じゃねーかなぁ…」


…ズキ、ズキ、ズキ。


よっ、と朔哉は立ち上がって、俺に向き合った。
差し出された手。


…ズキ、ズキ、ズキ。


表情は、とてもやわらかい。


…ズキ、ズキ、ズキ。


「……翔だから、かな」


…ズキン


「……………さくや、」
「…何?」



…ズキ、ズキ、ズキ。

…ズキ、ズキ、ズキ。

…ズキ、ズキ、ズキ。



「………ッ…」



…ズキ、ズキ、ズキ。




「……………なんでも、ない…」









言えるわけない。








bkm


/全80page

back
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -