▼ 衝撃 : 15 / 17
「……ッ…ほんとに…」
「しょうがないじゃん、指令だし?」
見えてない見えてない、なんて言いながら朔哉は赤いヒモでおれたちの足を繋ぎ始めた。
幸いなことに、他の選手はまだ指令に四苦八苦しているようだし、まだ小麦粉の海をさまよっている人もいた。今から走れば1位かもしれない。
ヒモを結び終えた朔哉が立ち上がった。
当然の如く、俺よりも背の高い朔哉が俺を見下ろすことになる。
「………ぷふっ」
「…なんだよ」
「身長差が…」
「う、うるさい!!」
朔哉は自分のペースを崩さない。
せーの、で地面を蹴った。
…勝負は勝負。
朔哉の無様な姿をさらすワケにはいかない。
全速力で走る。朔哉も乱れることなく着いてくる。身長差なんて気にならない。朔哉が合わせてくれているのだろうか。まるで1人で走っているかのように身体が軽い。
次第に歓声が大きくなっていく。
最後のカーブも綺麗に曲がり、ラストスパート。
「かけるーーー!!いっけぇええ!!」
「すげーーー!!はやいぞーーー!!」
はっ、はっ。
短い呼吸がシンクロする。
青い空をバックにくっきり映える真っ白いゴールテープ。
無我夢中で、飛び込んだ。
bkm
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