衝撃 : 15 / 17


「……ッ…ほんとに…」
「しょうがないじゃん、指令だし?」

見えてない見えてない、なんて言いながら朔哉は赤いヒモでおれたちの足を繋ぎ始めた。
幸いなことに、他の選手はまだ指令に四苦八苦しているようだし、まだ小麦粉の海をさまよっている人もいた。今から走れば1位かもしれない。
ヒモを結び終えた朔哉が立ち上がった。
当然の如く、俺よりも背の高い朔哉が俺を見下ろすことになる。

「………ぷふっ」
「…なんだよ」
「身長差が…」
「う、うるさい!!」

朔哉は自分のペースを崩さない。
せーの、で地面を蹴った。


…勝負は勝負。

朔哉の無様な姿をさらすワケにはいかない。
全速力で走る。朔哉も乱れることなく着いてくる。身長差なんて気にならない。朔哉が合わせてくれているのだろうか。まるで1人で走っているかのように身体が軽い。

次第に歓声が大きくなっていく。

最後のカーブも綺麗に曲がり、ラストスパート。

「かけるーーー!!いっけぇええ!!」
「すげーーー!!はやいぞーーー!!」


はっ、はっ。


短い呼吸がシンクロする。

青い空をバックにくっきり映える真っ白いゴールテープ。



無我夢中で、飛び込んだ。



bkm


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