衝撃 : 13 / 17





『あぁーあれは3年B組の真瀬武市くんですぅーかわいい後輩を助けにきたんですねぇーうぅーん美しいぃー』


和やかな声色にはどこか投げやりなのが見え隠れしていて、絶対そんなこと思ってないだろ、と突っ込みたくなる。

あっという間に王子様衣装に着替えたバスケ部所属の真瀬先輩は、彰太のもとに駆け寄り着替えを手伝っているようだ。

すると真瀬先輩がひょいと彰太を抱き上げた。
お姫さま抱っこでマイクまで一直線。
ドスのきいた歓声が沸き上がる。



『『ひーかりーにあふーれたーーー』』


二人は手をとって歌い始めた。聞き慣れた我が校の校歌である。決してオペラ歌手とは言い難いが、歌う当人たちは実に楽しそうだ。
程なくして歌いきった二人が手を取り合いゴール。ハルくんはサッカーボール相手に悪戦苦闘している。

次々に指令を下されクリアしていく選手たち。結局ハルくんは後ろから2番目でゴールして、先輩たちから盛大なブーイングを受けていた。







『続いてぇ、第二組―…』

次の選手の名前が呼ばれ始める。
今度の人たちは聞いたことがない名前だな、と軽く流していた。


その時。







「かける」


不意に届いた今一番気まずい人の声に、全身がぎくりと硬直した。
よりによってその人はおれの名を呼んでいる。


恐る恐る振り向くと、普段どおりの笑顔の恭祐くんがいた。
ほんのすこしホッとした自分がいる。





bkm


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