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ムチャブリレース、とは。

選手はスタートラインに並び、合図のあと、中間地点まで走る。そこに立っている体育委員とじゃんけんをする。勝つと指令カードを手渡され、グラウンド中央に立つ放送委員に指令カードを読み上げてもらった後、用意された道具を使い指令をクリアしゴールする、というのが基本的なルール。

単純なルールだが、この指令こそがレースのキモなのである。

ゴール地点の前にはお姫様衣装やらナース服やら紋付き袴やら軍服やらうさぎの着ぐるみやら、一体どこから仕入れてきたのか、さまざまな衣装、カツラ、小道具など身にまとうものの他、一輪車、三輪車、自転車、スケボー等々の乗り物まで並んでいる。

去年、ムチャブリレースに出場した嵐くんのお題は「お姫様の衣装に着替えて自陣の前で華麗なステップを披露し、自分よりも大きな３年生にお姫様抱っこされてゴール」だったそうな。背の低い嵐くんならまだいい、雅紀くんみたいに背の高い人がこの指令を引いたらおしまいだ。指令をクリアできない場合は失格となる。去年の失格者は「海賊の衣装に着替えて自陣の前で『海賊王に、俺はなる！』の決め台詞を披露し、ありったけの夢をかき集めてゴール」という指令を受けた筋肉質な生徒。用意された衣装が小さいため着れず、失格だったらしい。あっけなさ過ぎる。

ちなみに体育委員とのじゃんけんに負けた場合には、委員の後ろに設置された大量の小麦粉入りの箱の中から指令カード入りのガチャガチャを探さなくてはならない。しかも、口で。手足を使うのは禁止されている。

もちろんこんなわけのわからないレース、しぶしぶ出場する生徒もいるわけだが、全競技の中でも配点が高いことと、パフォーマンスに余念がない生徒もいることから、毎年なかなかの盛り上がりを見せるらしい。