▼ 衝撃 : 5 / 17
駆けつけてくれた二人を引き連れ、陣地へ凱旋。同級生や先輩たちは大きな歓声で迎え入れてくれた。
競技前、あんなにやる気がなかったのは事実だが、A組陣地が沸いたことは素直に嬉しかった。
「おっ、かけるんるん!」
…おれはそんなフザけた名前じゃない。
先輩相手に申し訳ないが、そんな感想しか抱くことができなかった。
陣地に加わろうとしたその時、徒競走の最後尾に並ぶ恭祐くんがにこやかに手を上げた。恭祐くんはC組団の黄色いハチマキを頭に巻かず、首からさげネクタイのように結んでいる。
「かける、足速いな!超びびる!」
「…そりゃどーも。恭祐くんも徒競走だったんだね」
「おーよ!1位とったらご褒美ちょーだい!」
「はいはい、何がいいか考えといてね」
まるでボディービルみたいなポーズを取り、たいそうご機嫌な様子で恭祐くんは言う。
いつものやたらハイテンションな恭祐くん。
普段どおりの調子が良い冗談だな、と軽く受け流した。
「キス」
…のに。
「俺が1位になったら、キスしてよ、翔」
bkm
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