衝撃 : 4 / 17




ゆっくり速度を落とし止まって、はぁ、と息をついた。
昔に比べたら体力もタイムも確実に落ちている。このくらいの距離、息も切れずに走っていた頃もあった。

だけどやっぱり、走るのって気持ちいい。

もうひとつ息を吐いて顔を上げると、雅紀くんが赤いリボンを持って立っていた。
そういえば、体育委員なんだっけ。

「…翔、1位」

俺の胸に蝶々がとまる。
なんだか小学校の運動会みたいで、照れ臭い。




「かっけるーーーーー!!」

歓声に負けないくらいの声に振り向いた瞬間、彰太がまるで今はやりの3D映画の如く飛び込んできた。

「っぶね!!なんだよ彰太!!」
「何って、一等賞だぞ一等賞!!翔ちょーはえー!!さすがかっけるんるん!」

勢いよく抱きついてきた彰太を何とか受け止める。そのまま振り回してぶん投げてやろうかと思ったが、逆に振り回されてしまって心からげんなりした。
どうして当事者以上にはしゃげるのか、甚だ疑問である。
彰太に遅れてハルくんもやってきてくれた。ハルくんも俺と同じで、何だか冷めた顔つきで彰太を眺めている。

「もう、彰太お前、いい加減うぜぇ…」
「だってさー!!ハル見ただろ!?超速かったじゃんかー!!」
「そ、そっか…?」
「おー、速い速い。運動部入んねーの?勿体ない…」

「ん…いいの。」






bkm


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