▼ 衝撃 : 3 / 17
…そう。
こんなにも情熱を欠いている俺が、何故ここに立っているのかというと。
『藤咲!お前徒競走な!』
『…なんでだよ』
『だって1Aで一番足が速いっていったらお前だろ!』
『そだな!夏の陣のサッカー、すごかったもんな!』
『決定!決定!』
こんな感じである。
ちなみに最後の煽りは彰太。睨み付けたら黙ったが、結局は他の奴らの押しに負けて徒競走の選手になってしまった。
…以上、回想おしまい。
『位置について!』
諦めて白線に手を置いた。
なんだかげんなりした。
はあ、とひとつため息が漏れる。
別に誰の足が速かろうが遅かろうが知ったこっちゃない。
…だけど、どうせやるなら、
………一等賞、だろ。
『用意!』
………1
………2、
パァン、
フライング気味だったが気にせず地面を蹴った。
…空砲は鳴らない。
全身を包み込む歓声と、風を切る感覚が何とも言えない心地よさを生む。
…ああ、この感じ、久しぶり。
見えた白いテープに向かって、走り抜けた。
bkm
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