暴走 : 4 / 14

......


「おおおおめでとう!」
「あ、ありがと」

彰太の朝練が終わったのを見計らって、教室のテラスに二人並んで座り込み、神野さんとそういうコトになったくだりを話した。先生とのことを打ち明けてくれたり、俺の背中を押してくれたりしてくれた彰太には言っておくべきだと、思い切って話してみた。
彰太は一瞬だけ驚いた顔をしたけど、すぐに満面の笑みを浮かべて、興奮ぎみに祝福の言葉をくれた。

「なに、今朝は、お目覚めのちゅーとか、しちゃったの?」
「……う、ん」
「くあー、いいねぇ!」

彰太が絞り出した声は、まるでビールを煽ったオッサンみたいだった。

「ね、ね、じゃあ、アレだ」
「…どれだよ」

「カクゴしとかなきゃね?」

…カクゴ。
カクゴ、って…覚悟?

「いやぁ、翔もオトナになる時が来るんだな、うんうん」
「…え、ちょ、なに…あのさ、彰太さ、翔『も』ってさ…」
「……はいはい!もう下ネタはおしまい!」

パンパンッと、ごまかすように彰太は手を叩いた。

…一瞬だけ、見るからに『マズイ』って顔をして。

それからは完全に彰太のペースで、体育祭の閉会式直後のこと、寮に戻ってからのことなどを事細かに訊ねられた。
その都度、これでもか、ってくらいに、顔が熱くなって困る。
こんな、いわゆる恋バナってやつには全く縁がなかったものだから、なんだか恥ずかしい。



bkm


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