告白11 : 11 / 11


......


「あー!二人とも、どこ行ってたのー?」

…お、思っただけっ。
ら、らぶほには行ってないです。はい。真っ直ぐ、特寮組に合流いたしました。はい。
後ろからこっそり近づいて、何事もなかったかのようにしたかった、が、そんな風に上手い話があるワケもなく。
まるで後ろに目があるかのように絶妙なタイミングで振り返った光希くんは、俺たちを見つけるや否や声を上げた。

「ご、ごめんなさ…」
「なんだよー結局エスケープしてんじゃねーか!」
「………ずるい」
「え?雅紀なんて?」

「…別にいいじゃん、」

ぶーぶー言う先輩方に圧倒され萎縮する俺の隣で、しれっと、彼は言う。

「付き合ってんだから」

ぴしゃり、と。
まさかの発言に固まった。

「うるせーな!!知ってるっつーの!!」
「独り占めしたいのは分かるけどさあ…」
「…自己中」
「……え?雅紀…なんて?」

…のは、どうやら俺だけのようで。
先輩方は至って普通、いつものようにワイワイと漫才を繰り広げる。

『…オレのモンだから』

…そっか、そういえば。
入学してすぐ、みんなの前で、そんなことを言ってのけたんだった、この人は。その時から表向きは、俺と先輩は恋人どうし、ってことになってたんだっけ。
…今はもう"表向き"ではないことが恐ろしいけど。

「そういえば、そろそろ花火、始まるんじゃない?」
「おー!行こーぜ!」
「高いトコ行こうよー、俺、見えないもん」
「……朔哉におぶってもらえばいい」
「あー、ソレいい!」
「…オレは嫌だよ?」

なんだか微笑ましい漫才もそこそこに、再び先輩方は歩き出す。
俺もそれに続くべく、一歩を踏み出した。

「翔」

その時、グイと肩を引かれる。え、と問い返すよりも早く、耳元で響いたその言葉。

「俺は、そうは思ってないから」

顔を上げた時には既に、俺の目にはその人の背中しか映っていなかった。
だんだんと遠くなる先輩たちに遅れをとらないよう、俺は足を動かす。

その人の、恭祐くんの言葉の真意は見い出せないまま、だった。







10...藤咲くんの告白。




bkm


/全80page

back
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -