告白10 : 10 / 11



「翔にそんなつもりがないのも、翔が困るのも、分かってたけど。…その、なんつーか、」

「…ヤキモチだ」

唐突にやって来たデジャブに思わず呟く。
彼は顔をしかめて、さらさらの髪をくしゃくしゃにした。

…やば、嬉しいかも。

自然と口角が上がっていく。



「…うるせい」
「…へへ」
「お前も、」

名前、


と言われて、咄嗟に言動を振り返った。



『朔哉!!』



「あ、あれは…!」

自分で思い出して恥ずかしくなった。その瞬間は無我夢中で、何も気にしなかったのに、今ごろになってどんどん顔があつくなっていく。

「…あー、もう」

すると。大きい手がのびてきて。俺の前髪を掻き上げた。

「可愛いな」

また、そのセリフが追い討ちをかける。
うっとりするような低音に、照れたような微笑み。
鷲掴みに、された。

「…や、野郎に可愛いなんて言うなよ」
「可愛いんだもん」
「っ、…だから…!」
「なあ、翔」

俺の言葉を遮って、先輩の顔が近づく。
キス、されるのかと思ったら、唇を素通りして、耳元へ。

「ラブホいきたい」


「…はああ!?い、今そんなトコ行って何するんだよ!」
「何って、ナニでしょう」

…な、何考えてるんだこの人。

恥ずかしくて仕方ないのと、呆れてどうしようもないのでごっちゃになっているというのに。

ずいぶん綺麗に笑うから。


…ちょっと、だけ。

本気にしてもいいなんて、思ってしまった。






bkm


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