告白9 : 9 / 11



「朔哉!!」



視界の端に、行く人がこちらを振り返る姿が映り込む。

…違う、俺が振り向いてほしいのは、あんたたちじゃなくて。



周りの世界よりもだいぶスローモーションで、彼は見開いた目をこちらに向けた。
1秒ごとに、鼓動は早く、身体は熱くなっていく気がして。

「どっちが楽しい、とか、比べられるワケないじゃん…」

もちろん、特寮組で過ごすのは楽しい。
先輩と二人で過ごすのだってまだ緊張はするけど、もちろん楽しい。
だけどこれらは、比べていいことなんかじゃない。俺にとっては、どちらも同じくらい、大切な時間だから。

…分かっておいて、欲しいことは。



「あんただけだと思ったら、大間違いなんだからな…!」


俺だって。
朔哉のそばにいたい。触れていたい。

恋人に対してそう思わない人なんて、きっといない。

そんな想いを込めて、その瞳を見返した。

「……か、ける」
「別に朔哉より特寮ってワケじゃなくて…」
「…翔」
「おれにはどっちも大事で、朔哉に対しての、その、愛、が足りない、とかじゃなくて、」

「分かってるよ」


弁解に必死で、すぐ目の前に彼がいることも気付かなかった。

その彼は、自らの腕で顔を覆っている。






bkm


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