告白7 : 7 / 11



「行かない」

後ろ手を引かれると同時、断固とした強い声。
振り返ると、整った顔が真剣な表情を作っていた。

「え、せんぱ…」
「あっち行くよ、翔」

すぐそばの金色に導かれ、だんだんと遠くなっていく4つの後ろ姿。

…あれ、一つ足りない…




「どこ行くんだよ」

焦る頭のどこか冷静だった部分がその疑問を抱いた時、もう片方の手を同じくらいの力で掴まれた。
その低い声に気付いたのか、俺の歩みが進まないことに気付いたのか、神野さんも足を止めた。

神野さんと、鋭い目付きの恭祐くんの視線が、交わる。



「…どこ行くんだよ」
「どこでもいいだろ」

「良くねーよ」

今日はお祭りで、周りには人がたくさんいて、わいわい賑わっているはずなのに。
俺の耳に入ってくる声は、先輩たちのものの2つだけ。
両の手首が、きゅうと締め付けられた。



「…お前に、引き止める権利なんかない」



だけどすぐ、その圧迫感の1つが消えた。代わりに、もう1つの圧迫感がぎゅっと強くなる。強い力で、引かれる。
ただならぬ雰囲気に、何度も代わる代わる、神野さんの背中と恭祐くんの真顔を見つめた。

そのうち、恭祐くんの姿だけが人混みに埋もれていった。



「せ、せんぱ…」

俺のことなんて全くお構い無しに、先輩は人々の間をかき分け進んでいく。
纏うオーラに気圧されて、俺の声は弱々しく萎んだ。




bkm


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