▼ 告白5 : 5 / 11
「ほら、翔、選んでいいぞ!」
「あ、えっ…と、じゃあ…何か甘いモノ…」
嵐くんに急かされて、ぐるりと辺りを見渡す。
「ん、」
すると。
目の前に差し出された、チョコバナナ。
デコレーションされたバナナにぶっすりと刺さる棒を掴む手をゆっくりと目で追うと、行き着いたのは、昨日の夜がまるで嘘のように静かだった彼。
「甘いの。」
…いや、明らかに食いかけですよね、ソレ。
バナナの先端は見事な崖になっていた。
「何言ってんだよお前!しかも食いかけじゃねーか!」
「いーじゃん。翔もこっちが良いよね?」
ね?と、首を傾げた神野さん。
口をへの字にしている、嵐くん。
…俺、どうしたらいいの?
「いただきまーす!」
ぱくんっ。
…え、俺じゃないよ?
「…恭祐」
「うま!」
神野さんの怒気のこもった声を全く気にすることもなく、恭祐くんはとびきりの笑顔で叫んだ。
「…何してんのお前」
「いやー、翔が食わないなら俺が貰おうと思って。あ、つーか、これって間接ちゅー?」
「うるさい考えたくない…」
神野さんの余りの嫌がりっぷりに皆が笑った。
一緒になって俺も笑っていたら、横目の神野さんと目が合う。けど、すぐにムッとした顔でそらされた。
bkm
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