思惑11 : 11 / 12



「ちゃんと反省してる…?」

まるで溶けてしまいそうな、熱くて甘い響き。それだけでもう、俺の脳ミソは許容量を超えてしまう。麻痺したように、ただコクコクと頷くしかできなかった。

「…そんな可愛い顔でうんうん言われても…説得力、ないんだよなあ…」

…じゃあ、どうしろと言うんだ。
そうは思っても、口は思ったようには動いてくれない。
彼が動かす手は本当に緩慢な動きで、絶頂はもうすぐそこなのに、届きそうで届かないような刺激しか与えてくれなくて。

「っも、…イ、きた…いぃ、せんぱ…いっ、」
「…なら、ちゃんと、」

ついに先輩はその手も止めてしまった。刺激を求めてふるふると震える身体には全く触れてはくれず、ただ視線だけを、まるで編むみたいに絡めてくる。

「オレのこと、名前で呼んでよ」

そうしたら、許してあげる。
いつものニヤリ笑顔を浮かべて、言った。

…名前、なんて。
呼ぶのも恥ずかしい、おそれ多い。
心の中で、神野さん、本人相手に、先輩、それだけでも緊張と羞恥に押し潰されそうなのに名前で呼ぶ、なんて。

「…っや、はず、かし…っ」
「…恥ずかしいの?…今の翔のカッコの方が、よっぽど恥ずかしいけど」

クスクスと耳元で笑われる、それにさえドキドキと鼓動する俺の心臓を疑ってしまう。思わず、ぎゅうと目を瞑った。

「…仕方ないな、」

笑うことをやめたらしい彼はふぅんと、無駄ないやらしさを滲ませたため息をつき、俺の身体を撫で始める。


「そんなに嫌なら…今日は、許してあげようか、特別に」

「あ、ちょ…んっ、ああ…!」






bkm


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